第11話

#9
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2022/12/14 10:09
モトキside.
…ガチャ、バタン。

ドアの開閉する音が響いた。
モトキ
…!タッ
モトキ
みんな、おかえり!
マサイ
…ただいま。ニコッ
シルク
ンダホ
…ご、ごめんね、長い間ひとりで待たせて…!
モトキ
いや、全然…。
モトキ
…なんか、あったの?
重苦しい雰囲気に耐えきれず、そう尋ねる。
ダーマ
っ…なんかあった所の騒ぎじゃねぇよ…ボソッ
ザカオ
…とにかく、中入ろ?…モトキにも、話さなきゃ。
モトキ
モトキ
あ、そうだ…。俺、晩ご飯作ったんだ。…食べれる?
シルク
まじ?モトキが??
シルク
めっちゃ食いてぇ!!ニカッ
場違いな、元気な声が響く。

辛そうな顔が奥に見える。無理してるんだ。



…あのシルクをこうさせるほど、何か大きなことがあったんだ。
モトキ
ん。ひき肉あったから、ハンバーグ作った。…みんなで食べよ。
そう言うと、みんな重い足取りで中に入る。
シルク
モトキ、料理得意なの?
モトキ
まぁ、自炊とかはする。…ここにタダで住ませてもらう訳にはいかないから、ご飯くらいはって思って。
シルク
…ありがと。フッ
モトキ
…っ、
シルク
おいお前らー!!やべぇ、このハンバーグめっちゃ美味そう!!!
ンダホ
分かった分かったw
仲間に苦しそうな顔は見せない人なんだろう。

…ほんと、どこまでもリーダーだ。
カチャカチャと食器の微かにぶつかる音が鳴る。
モトキ
…今日のこと、聞いていい?
意を決して、聞いてみる。
ダーマ
…あんま、気分のいい話じゃねぇけど、いいの?
おそらく、食事中に、という意味なんだろう。

彼は、本当はとても心遣いができる人だから。
モトキ
ん。俺は大丈夫。…そんな神妙な顔で手料理食べられちゃ、聞かない訳にはいかないよ。フフッ
そうやって笑いかけると、幾分空気が和らいだ。
ダーマ
そっか。それもそうだな。
ダーマ
…リーダー。俺が説明する?
シルク
…いい、俺から言う。
シルク
…モトキ。
モトキ
…なに?
シルク
単刀直入に言う。…今回崩壊事故があったのは、モトキが住んでたあのマンションだ。
モトキ
…!?
シルク
それも、奴らが重点的に攻撃してたのは、破壊状況的に見て、お前の元々いた部屋である可能性が非常に高い。
シルク
…つまり、
そこで、言葉が途切れる。
シルク
つまり、これはお前を狙っていた、と考えられる事故だった。
モトキ
そ、んな…。
シルク
…幸い、怪我人はいたものの死者は出なかった。
シルク
その代わり、
そういうと、1枚の写真をこちらに向ける。
シルク
現場には、こんな文字が―――――。
モトキ
っ!?ガタッ
写真を見た俺は、反射的に立ち上がる。
マサイ
モトキ…?
モトキ
な、で…?
シルク
…なんか、読めるのか??
モトキ
ちがっ…。
違う、読めない。

だけど、
『Ce qui est libéré, c'est―――』
謎の声
解放されるは、
モトキ
き、こえる…っ…。
ンダホ
聞こえる…?
モトキ
解放…されるって…っ、ずっと、俺の側でっ…!!変な声が…っ!!!
シルク
解放…?
ザカオ
モトキ、落ち着いて?大丈夫だから。
モトキ
っ…はっ…っ、ザ、カオ…っ…。
いつの間にか、声は止んでいた。
ダーマ
…この話、やめよ。モトキに伝えるべきことは伝えた。
ンダホ
賛成。…モトキ、大丈夫?
モトキ
…ん…ごめ、落ち着いた。
シルク
…とにかく、モトキのことは俺らが守る。いいな?
マサイ
ん。覚悟は出来てる。
「解放」が何なのか、見当もつかない。

だが。

この場にいる全員が、何かよからぬことが起きる、そう感じていた。

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