今日も俺は8時出社の会社行きの電車に
7時半丁度に乗車する。
そしていつも通りの満員電車の波に乗り、
いつも通りの駅でおりる。
そして会社の自動ドアが開き、
いつも通りの日々が始まった。
デスクに乗る仕事の山に一つため息。
ぼそっと呟いた俺に、同僚が話しかけてきた。
堂本 萌愛 (どうもと めあ)
俺と同じ時期に入ってきた同僚。
男勝りに突っかかってくる。
顔はまあまあ。
彼氏とは円満だそう。
こっちはもちろん彼女はいない。
聞かないでくれ。
相手のデスクにある資料の山をみて返事する。
そして二人で笑いあった。
俺と堂本は気軽に話せる同僚。友達。
もちろん堂本の恋愛話はしょっちゅう。
酔っ払った堂本をなだめながら、
3件目のバーに向かう。
全く自分の言う通りだと思った。
自分のことを棚に上げて愚痴愚痴言う彼女には驚いた。
なにをそんなムスッとした顔して。
と思いつつもそんな彼女をタクシーまで乗せて見送った。
と思ったが、堂本の終電がなく俺の終電があるなんてことあるはずがなく…。
経済が苦しいなかタクシーを使うことは気が引けたが、泊まる方がお金もかかるし、手間もかかる。
そう思い駅に向かう足をタクシー乗り場に変えた時
ドンッ!?
体に衝撃が走ると共に、目の前にいる女性に心奪われた。彼女は驚くほど可憐であったし、どこか見覚えがあった。
その衝撃で彼女の手にある封筒から資料が落ちていく。その封筒には、見覚えがあった。
きょとんとしたように彼女は答える。
この時点で僕は彼女に恋をしていたのかもしれない。多少強引ではあるが、彼女とバーに入った。
彼女とは、驚くほど共通の趣味があった。
最初は僕を警戒していた彼女も、
どんどん僕に心を許しているようだった。
別れる頃には次の約束まで交していた。
連絡先の交換もした頃はもう、
深夜の3:00を回っていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!