《朝》
明莉side
久しぶりに風邪をひいた
小さい頃、体が弱くてずっと風邪気味だった。
でも大きくなる度に少しずつ治ってきて、今では滅多に体調を崩さない
でも1度ひいたら酷くなる傾向がある
まぁ、大丈夫か。くしゃみだし
《学校》
今は9月中旬
さすがに暑い
水分補給しようと思ったら水筒が入っていない
あっ、そうだ、机に置いたままだ……。最悪
まぁ、熱中症は大丈夫か
……なんて思わないで対策してたらこうならなかったかもしれない
《昼休み》
やばい、頭痛いしフラフラするし色々変
多分暑いからだよね、大丈夫大丈夫
友達も「頭いたーい」って言ってるし
。。。(lll __ __)バタッ
急に視界が真っ黒になって椅子から倒れた
意識がなかった…らしい
るぅとside
昼休みが始まって5分後、先生達が慌ただしくなった
そんな平和な話をしていると、僕にしては重大な情報が入ってきた
少し嫌な予感がし、保健室に行くことにした
もし明莉だったら…
もし意識が戻ってなかったら…
そんなこと考えてもしょうがない。まず行ってみよう
《保健室》
ガラガラ
足取りが重くなるなか、保健室へはいる
開けると先生達が騒がしくしていた
救急車も来てるらしい
あの後ろ姿って……
……間違いない
僕は直ぐに明莉の元へ向かった
横にぐったりしていて、寝てるみたい
……でも意識がない
何回も呼びかけても、目が開かず、起きない。
先生に邪魔だと言われ、強制的にどけられた
後から「病院が決まったら教えるから」
と言われ、大人しく教室に戻った
そう聞かれたのに、口が開かず、答えることが出来なかった
明莉が…明莉が…と考えるとそれ以外何も考えることが出来なかった
そのまま意識不明だったら?もし重大な病気だったら……?
なんでキツく言っちゃうんだろう
明莉のことになると…つい
それから、ずっとその事を考えてて授業にも集中できないまま一日が終わる
今は病院に向かっている最中
たしか「○×病院」の《168》号室
《病院》
明莉side
ガラガラ
意識が戻ったのは数分前。
多分お医者さんだろう。
様子見に来てくれたのかな
心配してるかな〜と思ってたけどここまでとは思わなかった…
授業にも集中できてなかったみたいだし…
私…ほんっと馬鹿だ…
目に涙が溜まって、今にも零れそうなのに
ずっと泣かないように頑張って…。
るぅとくんらしいんだから
こっちまで泣いちゃうじゃん……
るぅくんすごい泣いてる…
私がずっと「そんなに」「そんなに」ってたくさんの思ってきたけど、それ以上に思ってくれてたんだ…
思ってなかったらこんなに泣かないよね…
さっきまでの目が急に大きく見開いて
びっくりしたって顔をする
るぅとくんが安心したようで、こっちも安心する
チラッと空を見てみると
赤い夕日が光を放っていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!