第17話

見せたくない
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2021/04/22 22:00
俺は修を連れて行き
換装体をといて治療を受けた

その時に医療道具を少し貰ってから支部に帰った
貴方「フゥ.......寝とこうかな」
生身で動いたこともあるのだろうか
意識を手放すのは早かった










貴方「ッ.......!」
痛みで眠りから覚めた
時間が経ち外は暗く
部屋の時計は深夜を回っている
貴方「医療道具、貰っといて正解だったな.......」
俺は痛みで震える手を動かしながら手当していく
気付くと足の傷口も開きかけていた

もう面倒臭いと思い
止血だけして放っておこうとした
「あなた、入るぞ」

貴方「ったく、ノックぐらいしたらどうだ?」

「しなくてもお前が怒る未来はなかったよ」

貴方「今はそんな気分じゃないんだよ
   先回りがよろしいことだな、迅」

迅「まぁね」
迅は俺の前に座り込み手当していく
抵抗する気も力もなく血を吐くのを我慢していた
迅「あとそれ」

貴方「ん?」
視線を移すといつ用意したのかは知らないが
バケツが置いてあった
迅「留めても悪化するだけだぞ?」

貴方「ゲホッゲホッ、オエッ
   ハァー、結局全部お見通しって訳か」

迅「そうだぞー、おれが来なかったら
  起きないお前を小南が起こしに来て絶叫パターン
  無理して過ごして気絶パターン
  玉狛を出て倒れて捜索パターン
  それに──」

貴方「あーもー、わかったって
   どの道俺が無事な未来はないんだろ?」

迅「そうなるな」

貴方「こうならないように
   迅には会わないようにしてたのにな」

迅「他のみんなを視ても
  あなたがいない未来はないんだよ」
一通り手当してもらい痛みも落ち着いてきた

迅がゆっくりと口を開いた
迅「つくづくおれは酷い奴だよ
  予知のサイドエフェクトを持っていながら
  敵の目的も被害の状況も
  いくつもの未来が見えていたのに──」

貴方「こじつけじゃね?」

迅「.......」

貴方「未来視があったら必ず
   こうしなきゃいけない、あぁしなきゃいけない
   なんて理屈はねーよ
   俺に言ってくれたよな
   『過ぎた事を悔やんでもしょうがない
    繰り返さないために未来を視ろ』って
   俺は繰り返しかけた、でも迅が導いてくれた
   だから今がある」

迅「 お前は本当に、おれの予想を超えてくるよね

貴方「ん?」

迅「なんでもないよ
  おやすみあなた」

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