最初の門が開く前
俺はボーダーの存在も知らなかった
ただその日は昨日と同じようにして
明日もその繰り返し
それの連続だと思ってた
昨日と違ったのは学校に残って
帰るのが遅くなって──
貴方「ヤバイ、圭也が拗ねる.......」
圭也「兄ちゃん遅い!」
貴方「ごめんて
兄ちゃんの方が学校長いから
しょうがないだろ?」
圭也「僕が勝つまでゲームして!」
貴方「はいはい」
いつもと似たような会話をして
笑って、怒って
これからもそれが続くと思ってた
母「あなた、お買い物行ってきてくれる?」
父「それなら僕が行こうか?」
母「あなたは私の方を手伝って欲しいの」
圭也「母さん!今僕が兄ちゃんと遊んでるの!」
母「お買い物くらい直ぐ終わるわよ」
貴方「じゃあ一緒に行こうか」
圭也「僕着替えてくる!」
貴方「外で待ってるぞ」
2人部屋で、隣の部屋と近い場所にあったんだ
貴方「圭也?まだ──」
吹っ飛ばされた衝撃と酷い耳鳴りだった
体中痛くて、地面に伝わる振動で目が覚めた
見渡すと何もなかったはずの道に
瓦礫や、血溜まりや
見たこともないようなモノがいた
貴方「何が、起きた……」
俺がいた場所は通学で通る道だった
家に帰ろうとしたけど
自分でも分からないような痛みと
捻れた足で上手く歩けなかった
「おい、大丈夫か?」
貴方「離してください、帰らなきゃ.......」
「とりあえずおれと行こう
このままじゃ、お前死ぬぞ」
貴方「圭也が、待ってるんだ.......
俺が、行か、なきゃ.......」
「ごめんな、おれにはわかるんだ」
貴方「何言って──」
そこで意識が途切れた
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三雲「あの、そこで竜闇先輩が出会ったのって」
迅「あぁ、おれだ」
貴方「迅を振り払って行こうとしたからなぁ」
空閑「それでその後どうしたんだ?」
迅「市街の病院は手一杯だったからな
おれがボーダーに連れてったんだ」
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目が覚めた時にはほぼ全てが終わってた
あの日から結構時間はたってたと思う
世間はボーダーについてもちっきり
俺も関係者から大まかな話は聞いた
貴方「あの、俺の家族は
街の病院にいるんですか?」
「君の御家族は──」
「後はおれがやるから、戻っていいよ」
「わかりました、失礼します迅さん」
貴方「迅?」
迅「おれの名前だよ、迅悠一
怪我の調子はどう?」
貴方「家族に合わせてください」
迅「.......」
貴方「どこにいるんですか」
迅「.......」
貴方「ッ、応えろ!」
迅が言わないでくれているのはわかってたんだ
なのに信じたくなくて
迅「!」
(ここで確定!?)
「待っ──」
迅が腕を掴もうとしたが
それよりも速く俺は病院の窓から飛び降りた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。