米屋「ランク戦見てるだけ?」
貴方「.......」
それが一言めだった
いつも同じ場所で誰かの試合を見てるだけ
自分から誘おうとしないし動こうともしない
米屋「あ、同じクラスの竜闇?」
貴方「.......名前なんだっけ」
米屋「はぁ!?」
学校のコイツはほとんど1人で
話しかけられても上手に相手をしていた
そういえば誰かの名前を言ったのを
聞いたことがない気がする
貴方「あぁ、えっと、吉田君?」
米屋「米屋だよ!米屋陽介、席近いだろ?」
貴方「そうだっけ?」
米屋「お前なぁ!」
貴方「.......」
反応が薄いコイツに
少しだけ興味を持ったのかもしれなかった
米屋「暇ならオレとバトろーぜ」
貴方「それは対戦の申し込みか?」
米屋「おう、試しに3本」
貴方「.......わかった、受けよう」
最初の1本
オレの動きを見るだけで簡単に勝った
けど後の2本はまるで嘘のように負けた
ブースから出ると竜闇が駆け足で寄ってきた
米屋「?どうし──」
貴方「吉田の武器は槍型の孤月なのか!」
米屋「は?オレ米屋だって
まぁ、孤月の改造型は珍しいのかもな」
貴方「しかし面白いな
持ち主の動きに合わせて形も変わるとは.......」
米屋「.......」
正直少し驚いた
コイツにもここまで夢中になれるものがあったんだと
米屋「お前も結構強いじゃん」
貴方「あぁ、楽しかったよ」
米屋「ついでにオレの名前は?」
貴方「傍から見ればヤバい奴だな」
米屋「お前が何回も間違えるからだろ」
貴方「ま、いいや
暇があったらまた遊んでよ米屋」
米屋「今度は絶対お前に勝つぜあなた」
通路の先に見慣れた奴がいた
ついでにアイツにも教えてやろうと思った
米屋「もう1人、アイツもクラスメイトだぜ?」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!