第15話

15
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私はクレヨンを握りしめ思うがままに絵を描いている

私、お父さん、お母さん…3人が仲良く手を繋ぎ笑っている姿を想像しながらクレヨンを走らせていた
ガラガラ
扉が開く音に気づき顔を上げるとそこに立っているのは私が大好きな人
あなた

おかあさん!

手を止め母に向かって走り出す

母も私の背の高さに合わせしゃがみ抱き抱えてくれた
お待たせあなた
ちゃんといい子にしてた?
あなた

うん!
あなたいいこにしてたよ

私は満面の笑みで答えると母は私の頭に手を乗せて「えらいえらい」と撫でてくれた
あなた

あっ!

首をかしげ様子を伺う母だが、私は抱きしめていた手を戻し先程描いていた絵を取りに行って見せた
あなた

みてみて!あなたがかいたの〜
じょうずでしょ!

まぁ上手に描けてるじゃない
母が褒めてくれるとさらに私の頬が緩む
それじゃ帰りましょうか
すみませんありがとうございました
私に帰るよう促したあと、私を預けていた人に声をかけていた

そうして保育園をあとにする
あなた

おかあさんきょうのごはんな〜に〜?

今日はねぇ
ハンバーグにしようかな
あなた

ハンバーグっ!
やったー、あなたおてつだいする

うふふ、そうして貰えると助かるわ
そんなやり取りをしながら母に手を握られ帰った

家に着いたら約束していたお手伝いをしてあとは父の帰りを待つだけ
あなた

(おそいっ!
おとうさんおそすぎる)

椅子に座り足をぶらぶらと揺らしまだかまだかと父の帰りを待っているが…
あなた

おそいー!
せっかくおてつだいしたのに…

そう拗ねないの
お父さんも忙しいんだから
あなた

でも〜

ガチャ
扉が開く音が聞こえ勢いよく椅子から降り、音が聞こえた玄関に向かって走り出す
ただいま
疲れきった父に対して私は両手でこぶしを作りポンポンと叩いた

もちろん小さい私の攻撃は父にとって痛くも痒くもないのはわかっている

だけど私のイライラは収まらない
あなた

おそい、おそい、おそい…!

わ、悪かった
そう怒るなよ
あなた

だって…
おとうさんといっしょがいい

……!そんな可愛いこと言うなよ
頑張って早く終わらせてきたんだから
そう言いながらも父は私を抱き上げほっぺたをつんつんとつついてくる
あなた

(ぜったいわたしであそんでる…)

さらに不機嫌になりほっぺたをふくらませると父も負けずと私で遊ぶ

母の呼ぶ声によってやっと解放された私は父を連れてリビングに戻る
あなた

おとうさんこれあなたてつだったんだよ

おっ!そうなのか
だから待ってくれてたのか?
あなた

そーだよ
なのにお父さんは…

分かった分かった
これからは早く帰ってくるから
私たちのやり取りを見ていた母は「フフフ」と笑いご飯をだべるよう呼びかけた

私たちは席につき食べながら家族みんなの絵を描いたこと、不器用ながらも頑張って母のお手伝いをしたことなど今日あったことを沢山話した
楽しそうでよかったわ
これからも元気で遊ぶんだぞ
あなた

うん!
ほんとにしあわせだよ!

私はこのなんてことない日常が何より幸せだ

特別なことがなくても父と母が居てみんなで笑い合えるならそれでいい
あなた

(あしたはなにがあるかな〜)

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