加州が部屋から出ていくが、薬研と鯰尾は残っていた
これはいくら言っても同じだ
加州が言ったことが本当なら、変わってくれるのを期待したいが、だふん無理なのだろう
いつもと変わらない様子に呆れる
その言葉に私は俯きながら言う
これじゃぁ、言われるまま動く操り人形でしかない、そう2人は思った
この時、初めて刀剣の前で自分の本音を口にしようとした
しかし、薬研と鯰尾は聞き取ることが出来なかった
初めて私が声を上げて言ったので驚いている
2人は何も言わず部屋を出ていった
この頃、加州は1人武道場で稽古をしていた
どうすればいいか分からず、ひたすら木刀を振る
そこへ話し終わった、薬研と鯰尾が来た
2人ともさっきより険しい顔になっている
みんな頭を抱え悩む
思った以上に大変なことを抱え込んでいるのではないのかと…
そう言って、また2人をおいて外に出た
日陰を探しながら歩き、桜の木の影を見つけると、幹にもたれ掛かるようにして座る
考えないようにしようとするが、どうしても私のことが頭に浮かぶ
鯰尾も言っていたことがふと気になり、口にする
色々考えているうちに、頭を使いすぎて疲れ、眠くなってきた
気づけば、深い眠りについていた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。