不器用ながらも笑顔を作るとみんなは目を見開き固まっていた
私の笑顔はあまりにもぎこちなかったのかと心配になる
いまだ固まったままの状態にさせとくわけにもいかず声をかけた
やっと我に戻った3人は顔を見合わせた
″色々″と言われるとあの笑顔だけが原因ではないらしい
みんなが驚くことといえば…………
私の様子なのかな?
今までは自分自身を守るために感情を押し殺してきた
みんなにも冷たくあたり、誰も寄せつけないようにしてきたから私の印象は感情のない無口な奴となってるはず
そんな印象の私が謝ったり笑ってみせたら誰だって目を疑うのは当然か
そう思っていると未だに信じられないような顔をしている薬研が口を開く
やっぱりそう思っていたみたい…
どれがと言われると…全部本当の私と言える
どう答えればいいのか悩んでいると
まるで私の心を見透かしてるようで驚いた
ほんとに言ってもいいのか迷っている
これは私自身のことでみんなに言っても意味が無い、何も変わらない
何よりどの範囲まで喋ることが出来るのか………
だけど既に心配も迷惑もかけている
これを機に変わりたいと思う自分もいる
意を決して深く深呼吸をして気持ちを落ち着かせる
ドクン、ドクン…
心臓の音がうるさく聞こえるが気にしない
改めてみんなの顔を見ながら話し始める
どうやら望んでいた答えと違ったみたいで薬研さんの顔が少し険しくなる
″ある事″に触れないように言葉を探しながら続きを話そうとした
その時、突然体中に痛みが走る
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。