第8話

8
加州 清光
うっ…
目が覚め、そのまま背伸びをする
加州 清光
しまった…寝てた
慌てて体を起こそうとすると、毛布が落ちる
加州 清光
(いつの間に、毛布をかけてくれたのか…)
加州 清光
誰かわからないけど、お礼言っとかないと
落ちた毛布を軽く叩いて砂を落とし、綺麗に畳んでから縁側に置いた

ひとまず、薬研と鯰尾を探さないとと思いあちこち回る

トントン

台所の方から包丁を使う音が聞こえ覗くと、探していた2人がいた
加州 清光
おっ!ここにいたのか
鯰尾 藤四郎
加州さん、やっと戻ってきたんですね
薬研 藤四郎
夕飯の準備をしないといけないって言うのに、今まで何してたんだよ
加州 清光
悪い…ちょっと寝てた…
鯰尾 藤四郎
はぁ…?!
ずるいですよ、1人で休んで
加州 清光
えっ?!じゃぁ
毛布掛けたの2人じゃないのか?!
薬研 藤四郎
なんだそれ?
鯰尾 藤四郎
俺達はやってませんよ
加州 清光
(てことは…残るのは…)
バタッ

遠くからもの音が聞こえた
加州 清光
なんの音だ?
鯰尾 藤四郎
俺、ちょっと見に行ってきます
その分加州さん、しっかり働いてくださいよ
そう言うと、鯰尾はスタスタと音のした方へ向かった
薬研 藤四郎
言われた通り、しっかり仕事しようぜ
返事をして、手を洗い、料理できる状態を作る
薬研 藤四郎
加州の旦那…さっきの話だけど、その毛布って大将がやったんじゃねぇか?
加州 清光
はぁっ?アイツが?
無い無い!

だってアイツだよ!

そんなことするはずが……なくも…あるかも…
薬研 藤四郎
ほらその顔、少しは思ってるんだろ?
加州 清光
えっ?!そんなに顔に出てたか?
慌てて顔をペタペタ触り確認しようとする

すると、薬研がすくすくと笑い出す
薬研 藤四郎
わりぃ、嘘だ…フフッ
加州 清光
おいコラ、笑うな!
いつまでも笑いを抑えようとする薬研が少しムカつく
薬研 藤四郎
だけど、その反応は…そう思ってんだろ?
加州 清光
うっ…
あれだけの反応をすればそう思ってると言ってるようなものだ

図星で言い返せない
薬研 藤四郎
俺も大将が毛布をかけてくれたと思ってるぜ
加州 清光
なんでそんなこと分かるんだよ
薬研 藤四郎
なんでって…
確かに、俺たちに対しての反応はイマイチだ
薬研 藤四郎
だけど、出陣の前と後ちゃんと来てくれたじゃねぇか
加州 清光
(俺にも思い当たることがある
手入れの時、丁寧に手際よくしてくれた)
加州 清光
(あれは、俺の事気遣いながらやってた)
加州 清光
俺はどうすればいいんだろうな
ずっと考えてるけど、まだ、答えが出ないままでいる
薬研 藤四郎
加州の旦那がしたいようにすればいいじゃねぇか
加州 清光
それが分かれば苦労しないって
薬研 藤四郎
まぁ、そうだな
そう言ってまた薬研が笑う