第7話

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みんなが出ていった部屋は、私一人になり、一気に静まり返った

先程の仕事の続きをしようと、机に向かった

しかし、視界が歪み、資料に雫がポタポタと落ちる
あなた

うっ…

泣きたくないのに、勝手に涙が出て止まらない
あなた

私だって…グズッ
みんなのこと…

みんなのことを嫌ってはいない

だけど…


ー奴らは道具だ、折れたらまた作ればいいー


私はこの言葉を何度も聞かされてきたけど、私はそうは思わない

彼らには、ちゃんと意思がある

むしろ、道具なのは私の方だ
あなた

今までだって…1人でやってきたのに
どうして…私はこんなに弱くなったの

あなた

もう嫌だ…誰か助けて…

誰にも頼ることは出来ないと分かっていても、彼らに助けを求めようとしてしまう









気持ちを落ち着かせようと外に出る

ちょうど風が吹いて、一緒にこの気持ちも吹き飛んでくれればと思う

そんなことを思いながら歩いていると大きな桜の木が目に入る
あなた

(そういえば、こんな所に桜あったのね)

しっかり桜を見るのは初めて本丸に来た日以来かもしれない

もっと近くで見ようとすると、誰かの寝息が聞こえた

反対側を見てみると…
加州 清光
すぅー
あなた

(こんな所で寝てたら風邪ひくのに…)

気づいたら、毛布を取りに行き、加州にかけていた

普段の私ならこんなのと、絶対にしないのに…
あなた

(昨日からほんとにどうかしてる…)

手入れの時に加州に言われた言葉を引きずってしまっている
あなた

それにしても…

それにしても、気持ちよさそうにぐっすり眠っている

私の手が自然に、加州の頬に触れようとするが、触れるか触れないかのギリギリのところで止まる

人肌が恋しい…誰かと一緒にいたい…

だけど、それはあの日に全て失っている

私は出した手を強くにじりしめ、悔しさを必死に抑え、仕事に戻った

残りの仕事はあと少しなので、今日中には終わらせたい

本丸に来てからずっとこの部屋で事務作業をさてきたが、まともな食事と睡眠を取っていない

それほど、仕事量が多い

いや……正確に言えば、上司に押し付けられたという方が正しい


その上司というのが…

政府上層部の人で…
刀剣男士を道具だと言う人で…
私を審神者にさせた人で…
私の人生をガラリと変えた人
あなた

ふぅー、やっとで終わった

本当は資材の確認、刀装の作成など他にもいろいろやりたいことがあったが、期限もあったので無理やり終わらせた

さすがにお腹が空いたので、何か食べようと立ち上がったが、目眩がして、フラついた
あなた

うっ…

さらに頭が痛くなり抑える
あなた

(ちょっとやばいかも…)

しかし、いつまでもここにある訳にもいかず、歩き出す

足取りが重く、視界がはっきりしない

気がつくと、視界が歪み、体が倒れ痛みを感じるとともに、私の意識がそこで途切れる