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第47話

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810
2021/08/03 13:57





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ジャミル・バイパー
ジャミル・バイパー
……心配、なんですよ。
ジッと此方を見据えていた瞳がコテンと下に落ち、俯きがちになりながらもポツリと呟く。
蚊の鳴く様に、か細く弱々しい声で零れたジャミルくんの言葉は、今の私の心にじっとりと染み渡った。
チラリと見えるその表情は、恥ずかしいのか少しばかり紅潮していて、うろうろと瞳を彷徨わせている。
そんな顔が"本心だ"という事を物語っている気がして、もっともっと嬉しくなり思わず表情を緩ませた。

へにゃりと笑いながら「ありがとう」と感謝を述べ、手を伸ばして頭を撫でる。
潮風に当たっていたにも関わらずサラサラで、傷みと絡みを知らないその濡羽の髪を指で梳きながら、慰める様に、安心させる様に、慈しんだ手つきで撫で続けた。
眉に皺を寄せながら此方をジッと見ていたジャミルくんだったが、数秒後ため息を吐いたのちにふっと微笑んで、悪戯する様に手で包んでいた私の頬をむにゅむにゅと弄り出す。
「あぅ」という情けない声を出してしまえば、ジャミルくんはぷっと吹き出して笑っていた。
鏡宵 (なまえ)
鏡宵 あなた
……ふふっ、ありがとね、ジャミルくん。
でも心配しなくて良いんだよ、私は大丈夫だから。
ジャミル・バイパー
ジャミル・バイパー
……本当に大丈夫な人は「大丈夫」って言わないって、聞いたことあります。
ジャミル・バイパー
ジャミル・バイパー
何隠してるのか知りませんけど、あなたさんが耐える必要無いですから。
……何か言われて癇癪起こすほど、子供じゃないです。
鏡宵 (なまえ)
鏡宵 あなた
そっか、隠してるのバレてたか……
ジャミル・バイパー
ジャミル・バイパー
あなたさんは分かりやすいので。
でも、バレてるからって無理に言わなくて良いですからね。言いたくなった時に言ってください。
鏡宵 (なまえ)
鏡宵 あなた
ありがとう、ジャミルくんは考えが大人だなぁ……私も見習わなきゃね。
サラサラな髪から手を離し、頬を覆っているジャミルくんの手に添えてギュッと握り、目を見つめて「ありがとう」ともう一度感謝を述べる。
「どういたしまして」と照れた様に微笑んで言ってくれたジャミルくんをもう一度撫でた後、先程のお言葉に甘えて先にお風呂に入る事にする。
リビングでテレビを見て待つらしいジャミルくんの後ろ姿を一瞥し、風呂場に向かいながら私は考える。

頭が良く、大人な考えを持つジャミルくんには、隠し事なぞ無駄だったらしい。
「何隠してるのか知りませんけど」と言われた時は、ジャミルくんが視界から消えてしまった時程に心臓がバクバクとした。
「問い詰められたらどうしよう」だとか「嫌われてしまったら」だとか。
不安ばかりが脳内を駆け巡って、ネガティブな発想だけが私を支配し縛り上げた。
だが、現実は想像と全てが違っていた。
ジャミルくんは問い詰める事なく「無理に言わなくて良い」と、優しい言葉を掛けてくれた。
嫌うことも無く、いつも通りの優しくて意地悪な姿を見せてくれて、嬉しかった。

でも、ジャミルくんの言葉に応える事は出来なさそうだ。
隠し事を伝える勇気なんて、私には無いから。
立ち止まってばかりでごめんね、背中を押してあげられなくて、ごめんね。

無性に泣きたくなってしまって、私は急いでお風呂場の中へと足を踏み入れた。










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