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第50話

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2021/08/26 07:18





眩すぎる光が、蛇口を、コップを、濡れた洗面台をキラキラと白い光で包み込む。
鏡が光った。今度は見間違いでも寝ぼけてるわけでもない、だってこんなにハッキリと見えている。
孤花ちゃんは「ファンタジーじゃないんだからあり得ない」とケラケラ笑っていたものの、そもそも異世界から来た高校生がこの家に居る時点で可笑しいのだ。
「ツイステッドワンダーランド」という所がもしあるのならば、鏡が光って、奥から話しかけられても、なんら不思議な事ではない気がする。

スゥ、ハァ。小さく深呼吸をし、太陽の如く眩しい光の方へと、段々足を進めていく。
以前の様に恐怖に怯える必要はない、足を止めるな、この真相を突き止めなければならないのだから。
鏡宵 (なまえ)
鏡宵 あなた
っ、こんばんは!!!
洗面台の鏡の前に立ち、以前の様に光の中に手を突っ込みながらこんばんはと叫ぶ。
瞬間、所々ノイズの掛かったような声が、また奥から聞こえ始めていた。また得体の知れない声にキレないよう心を落ち着かせながら、鏡の冷えた感覚を手探りで探す。
探す手が空を切る中、諦めずそのまま手を伸ばしていれば。

突然、冷たいガラスの感覚が、人差し指の先に走った。
鏡に触れた、と顔を上げた瞬間、眩し過ぎて目が痛くなるほどの光は収まり、今度はオレンジ掛かった柔らかい光が包み込む。
顔を上げた先にあったのは、何も映っていない鏡じゃない。
まるで何かの映像を見ているような、ハッキリとした異国の風景だった。
そこに広がるのは、色とりどりのクッション。その下には臙脂色の絨毯があり、背景には広々としたベランダと星の輝く夜空が見える。
人の姿は見えないが、何かがそこにいるという感覚だけはあった。
鏡宵 (なまえ)
鏡宵 あなた
ぇ…え……?これ、何処の景色…?
記憶を探っても、こんな景色を見た覚えはない。
初めて見る光景と雰囲気に、困惑して唖然としていれば。

『やっぱり、そこに誰か居るのか!?』

以前よりもハッキリとした声色が、目の前の鏡の中から響いて来た。
ビクッと肩を揺らし勢い余って「はい!!」と返事をすれば、居る筈なのに見えない目の前の人物は、安堵した様に息を吐いた。
鏡に触れてみると、水面のように波打った後、まるで異物を払う様にして私の手をバチッとした電流が弾き出してくる。
ビリビリと痺れる指先を片方の手で覆いながら、怪訝な表情を浮かべた。
鏡宵 (なまえ)
鏡宵 あなた
あの、貴方は…誰、なんですか……?
恐る恐る、鏡の中に問いかけた。

『オレはカリム。カリム・アルアジームだ!』

焦った様な口調で捲し立てた彼に、カリムくんに。
息を呑み、まるで時間が止まった様な気がした。







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