第44話

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2021/07/17 05:39





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鏡宵 (なまえ)
鏡宵 あなた
……__へぇ、海の中に国があるなんて、御伽噺みたいだね!
ジャミル・バイパー
ジャミル・バイパー
ツイステッドワンダーランドなら当たり前ですけど、この世界じゃ御伽噺ですよね。
人魚も居ないんでしょう?
鏡宵 (なまえ)
鏡宵 あなた
うん、多分居ないんじゃないかな。
「人魚がいたら、すごく綺麗なんだろうなぁ」
そう呟き、ザザンと波音を立てる海を見つめて、空をオレンジに染める太陽に目を細める。
夕日を反射してキラキラと輝く海の水は、透き通る程に美しく綺麗で。
その横に微笑むジャミルくんが居るから、もっともっと美しく見えてしまう。美人と絶景の組み合わせは、眩いほどに妖艶で輝いている。
瞬く星の様に、柔らかな朝日の様に、沢山の表情を見せてくれるジャミルくんに、私の瞳は釘付けだった。

ツイステッドワンダーランドには海の中に国がある、という話を聞きながら時間を過ごしていれば、あっという間に空はピンクから紫、青へと変わり果てていく。
先程よりも"彼そ誰時"らしくなって来た光景に、私は「まるで天界みたい」と感銘の声を漏らした。
そんな私の声を聞いてなのか、「あっ」と何かを思い出した様な声を出したジャミルくんに視線を向ければ。
ジャミル・バイパー
ジャミル・バイパー
少し、見ていてくれますか?
そう言って自信満々に微笑み、臙脂色の宝石が嵌った「マジカルペン」と言う物を手に持つ、ジャミルくんの姿があった。
ジャミルくんの問いに、私は声を出さずコクリと頷く。
瞬間、マジカルペンが一振りされ、パチパチと、小粒の光が海の上をパチパチと弾け、眩しく輝いた。
少しの時間だけだったが、線香花火の様な可愛らしい煌めきに、私は見惚れてポカンとしてしまう。

そんな私にふふ、と笑ったジャミルくんは、マジカルペンを仕舞い直しながら、私の目を見据えて言う。
ジャミル・バイパー
ジャミル・バイパー
少し、魔法が使える様になったんです。
この世界に来てから何度も試してるうちに、数分だけなら使える様になって。
鏡宵 (なまえ)
鏡宵 あなた
そっ、か……凄いなぁ、努力のおかげだね!
ジャミル・バイパー
ジャミル・バイパー
はい。でも、鏡や水面の近くじゃないと使えないんですよね……そこがちょっと不便なんですけど、使えないよりマシかなって。
鏡宵 (なまえ)
鏡宵 あなた
鏡や、水面………ねぇ、それって、
首を傾げるジャミルくんを見つめて数秒、私は首を横に振り「なんでもない」と笑った。
鏡や水面と聞くと、あの日の出来事を思い出してしまう。カリムくんが、私の元へ来た時。ジャミルくんを取り返しに、来てしまった時。
ジャミルくんがいなくなってしまうようで、怖い。
お願いだから、私の目の前から消えないで。






ねぇ、ジャミルくん。
それってさ、
「魔法の世界に帰る日が、近付いてるから」
じゃないかな。










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