第6話

6💭
371
2018/02/02 13:30

それ以降、俺は気にしないよう努めた。

毎週土曜日店のキッチンに入った時、手伝いに集中するよう心がけて、カランカランという音が鳴っても視線を上げることはしなかった。

バレンタインデーが近づくにつれ、仕込みの量も増えていった。

親父はてんてこ舞いになってたけど、俺としては忙しいくらいでよかった。

余計なことを考えて済む。

生クリームを泡立てたり、生チョコをカットしたり、ケーキの生地を作っている時間だけは無心になれた。



例えあの子が来たとしても……関係ない。

今までは……ちょっと期待してたけど、そうじゃないとわかった。

それなら……もういいんだ。



そんなこんなでバレンタインデー当日。

日曜日だけど、この日は朝から手伝いをした。

「すぐる。本当に悪いな。助かるよ」

「いーよ。どうせ予定ないし」

プリ小説オーディオドラマ