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第1話

1🍰
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2018/02/01 15:09
1月の半ばを過ぎたある日の土曜日だった。

いつものように父親の店で仕込みの手伝いをする。

「すぐる、シフォンケーキ焼けたぞ。オーブンから出してくれ」

「あ、うん」

親父の指示に従い、業務用の大きなオーブンに手をかけた。

開いた瞬間ふわりと香ばしいかおりに包み込まれる。

この匂いを嗅ぐといつも幸せな気持ちになった。

相変わらずいい匂い……残ったら食べたいなと思ってるのに、すぐ売り切れるんだよなぁ。

ま、それはそれで嬉しいんだけど。

「すぐる、ほらっ、早く早く」

「ご、ごめん」

こんがりと焼けたシフォンケーキを丁寧に取り出すと落とさないように運んだ。


俺の親父はパティシエ。

去年、地元にケーキ屋をオープンした。

フランスで5年間修行した腕前はなかなかのもので、毎日お客が尽きない。

そういうわけでいつも仕込みに追われている親父の頼みで、土曜日は手伝いをしている。

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