第10話

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2018/02/04 01:20

「あ、ありがとうございます」

「いつも……お店手伝ってるんですね」

あ……やっぱり俺のこと見ててくれたんだ……それだけでも嬉しいかな。

「いえ、土曜日だけです。親父の店だしそれくらいはと思って」

「それでもじゅうぶんすごいと思います。……生チョコ……あなたが作ったんですか?」

「僕は手伝いだけです。いつかは作ってみたいなとは思ってますけど、まだそんな」

「そうなんですか」

向こうから話しかけられると思っていなかった。

彼氏がいるとわかっていても素直に嬉しかった。

だから、俺もつい訊いてしまった。

「あの……自分で作ったりしないんですか?」

「え」

「いや、その……今買ったチョコ……大切な人にあげるのかなって思ったから」

我ながら変なことを言ったと後悔して、視線を逸らした。

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