第7話

爽やか後輩とトモダチ
504
2018/04/22 11:31
朝起きると、好青年一年生が俺に覆いかぶさっていた。

時計を見ると、まだ六時。今日の授業は昼近くだし、ベッドの上からは保野の寝息が聞こえてくる。
「あ、おはようございます、先輩」
「…なんだよ、何か用でもあるのか?」
「いえ、ただ聞きたいことがあっただけですよ」
「っ…」
いつもイケメンスマイルを振り撒いている如月。今こうしている中でも、こいつは笑い続けている。しかし、俺は嫌な予感しかしなかった。
「…で、なんだよ。聞きたいことって」
すると如月は目を細め──
「雄作先輩って、ゲイですか?」
「っ!!」
脳が追いつかない。寒気がする。如月の目に、全てを見透かされているような感覚がする。
「あ、その反応は図星ですね?」
「…だから何?」
これは夢か?現実にしてはできすぎだ。でも、こんな後輩に何が出来る。犯されるわけじゃない。

台詞と共に自分を落ち着かせ、俺は如月に目を向けた。
「確認はそれだけか?」
「怖いなぁ、雄作先輩」
「早く言え」
「それじゃあ──」
















「おい新田」
「なんだよ」
「顔ゲッソリしてんぞ?」
「え…」
昼食を食べていると、ジョーカー男が俺の顔をのぞき込んできた。

しかし、俺がよほどひどい顔をしていたのか、本気で心配しているような目で見てきた。
「いや、ンなわけないだろ」
「嘘だな。箸進んでねぇし」
「あ…」
手元の食事を見ると、保野はもう食べ終わるのに対し、俺はまだ半分ほどしか食べていない。
「なんか、あったのか?」
「うっ…」
''あった''と言えば、あったのだろう。だって──
「なんもない。俺の心配する前に、お前は自分のレポート終わらせろ」
「なっ!?人がせっかく心配してやってんのに!!」
「頼んでない」
「お前ぇぇぇ!!」
「………」







『それじゃあ、先輩。''俺''とトモダチになってよ』
『トモダチ?』
うるさい男を前に、止まっていた手をまた動かし始める。

いつもの俺なら、なにか言っては反応を見てからかっていた。しかし、俺は今何も言えなかった。
『そう、トモダチ』
『………』
『ははっ、そんなに警戒しないでくださいよ』
『そんな笑ってない笑顔を見せられて、警戒しないわけないだろ。それに、ただのトモダチじゃないんだろ?』
『もちろん、普通のトモダチですよ?こんな感じのね…』
『っ!?お、お前、どこ触って…っ!』
『雄作先輩は、胸が弱いんですね…それもほら、すぐ硬くなってきた』
『クソッ…セフレってことかよっ』
『はい。今はシませんけど、よろしくお願いしますね』
『…お前になんのメリットがあんだよ』
『ありますよ。雄作先輩が宏人先輩に嘘ついてくれたらですけどね』
『俺が断ったら…なんて、言わせてくれなさそうだな』
『絶対断れませんから、心配いりません』
『で?俺はなんて嘘をつけばいいんだ?』
『はい。それでは──』



























《如月 柊真》
大学一年
爽やかで可愛げのあるイケメン
しかし裏の顔があるようで…
実家は隣の県
今の悩みは「女子につけられてめんどくさい。そしてこれを相談すると、絶対に睨まれる」

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