第3話

蒼介の笑顔
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2018/04/14 14:37
固く閉じた唇も、無理やり舌でこじ開けられ、閉めることが出来なくなった。僕の舌は弄ばれ、絡められ、吸われた。
「ふっ、んんっ…!」
ジュルジュルっと水音が脳まで響く。口付けとは──キスとは、このような感覚なのだろうか。

嫌だ…気持ち悪い…。そう思ってるはずなのに、体は快楽を求めて佐久君の胸板を押し返さなかった。

この長く感じられた時間を制したのは、佐久君だった。
「お、顔トロットロや」
「はぁ、はぁ…ひゃっ!」
体から力が抜け、嫌でも佐久君に体を預け呼吸を整えていたそのとき。僕は下半身に違和感を感じ、変な声を出した。
「ここ、キスだけでガッチガチになってるぜ?」
いつの間にいたのか、僕の後ろには僕の肉棒に触れる大樹君がいた。
「いや、やめ──」
「やめて?そんなんで俺らが止めるわけないやん」
「や、やだ…蒼介も、戻ってくる、から…」
「蒼介が戻ってくるから、ね…そや、蒼介に見してあげようや」
「うそ…あっ」
僕の体は佐久君に引かれ、流されるままにソファーに座った彼の上に乗った。腕は後ろから押さえられ、足は広げられる。大樹君は僕のズボンを脱がし、下着まで脱がせ、僕の熱をいじり始めた。
「いやっ、恥ずかし…んっっ」
「大樹、しゃぶったれ。辛そうや」
「後ろは?」
「せやなぁ…どっちもやったれ」
佐久君は適当そうに応えると、僕の服の中へ手をすべらせ、胸の飾りを引っ張ったり、つねったりした。

その度出てしまう自分の声なんて、色々されすぎて恥ずかしがる余裕すらなかった。
「そない感じるん?乳首弱いんやなぁ、雄作くん」
「イッちゃう、イく──え…?」
「誰がイカせるかよ」
下の異物感と快楽は消え、水音も止まった。

見られたくない、今すぐ止めてほしい、この場から飛び出したい…なのに、僕の体は快楽だけを求めていた。
「なんや、物欲しそうな顔して」
「早くラクになっちまえよ。ほら、蒼介も見てるからさ」
「っ!?」
いつの間にいたのか、入口付近の壁には、蒼介が寄りかかってこちらを見ていた。
「い、いつから…そこに…」
「ずっといたよ。まあ、雄作が佐久の足に座って足を広げたくらいから、かな」
「あれ〜?雄作くん気づいとらんかったん?」
「それほど俺らに夢中だったんだろ」
大好きな蒼介の笑顔も、優しい声も、同じはずなのに違って聞こえた──いや、むしろ怖かった。
「いや…来ない、で」
「そんなに怖がるなよ。いつも通りの笑顔だよ?君の大好きな、藤 蒼介だよ?」
ゆっくりと──じわじわと距離を詰めてくる蒼介。その妖笑は僕の脳内に''恐怖''しか与えなかった。

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