第3話

🐹
1,492
2022/09/17 01:27
2人は既に付き合ってますが、
まだ性行為は1度も行っていません。
休日。
朝陽は中学からの親友であり、数ヶ月前に交際を始めた紫苑の家に遊びに来ていた。
いや、正確には勉強をしに来ていたはずだったのだが、気がついた時には朝陽と紫苑の手にはゲーム機が握られており、数学の教科書は開かれたまま机の上に放置されていた。
朝陽
あ"〜、またまけたぁ〜!!紫苑強くねぇ?
紫苑
ふふ、毎日やってるからね。
朝陽は寝転んでいた体を起き上がらせると、机の上のマグカップに口をつけた。
紫苑
あ、飲み物終わっちゃった?
俺、取り入ってくるね。
朝陽の空になったマグカップをみて紫苑は立ち上がった。
朝陽
おーサンキュー。
紫苑が部屋を出て行くと、
朝陽はジロっと紫苑の部屋を見渡す。
朝陽
(紫苑って"性欲ありません"って顔してるけど、実際どうなんだろ。エロ本とか持ってねぇのかな)
そんなことを考えた朝陽は静かに立ち上がり、
紫苑の部屋のあちらこちらを観察した。
ソファの隙間やベッドの下。なるべくものを動かさないように探したが、どこにもそれらしきものは見つからなかった。
やっぱりそんなもの無いか…、
なんて諦めようと思ったその時。


棚の隙間から1枚の写真が飛び出しているのが見えた。
朝陽はそれつまみ上げて表面を見る。
朝陽
ッ…は…?
言葉を失った。
写真に映っていたのは紛れもない朝陽の姿だったからだ。
朝陽
ど、どういうッ…、まさかッ…、
勢いよく棚を開く。


すると朝陽の嫌な予感が的中した。
棚の中には朝陽の写真が大量に詰め込まれていた。


どれも撮られた覚えのない写真ばかりだった。
朝陽
な、にッ…これ…、
震える手で棚に写真を戻そうとしたその時、
部屋の扉が開いた。紫苑が戻ってきたのだ。


紫苑は写真を手に固まる朝陽の姿を見て顔を真っ青にする。
紫苑
ッ…、あ、さひッ…、なに、し、てッ…、
朝陽
いやッ…こっちのセリフ…なんだけど…。
朝陽は手に持っていた写真を紫苑に押し付けるように手渡す。
朝陽
これ、俺だよな?
こんなの、撮られた覚えねぇんだけど…。
紫苑
ご、ごめんな、さッ…、
紫苑が顔を背けて今にも泣き出しそうな声でそう呟く。
朝陽
…正直に言って?これ、盗撮?
紫苑
………は、いッ…、
朝陽の問いに素直に答えた紫苑は深々と頭を下げた。
紫苑
もう絶対しないからッ…、
お願いッ…、嫌わない、でッ…、
朝陽
ちょッ…頭上げろって…、
そんな怒ってねぇからさ!
朝陽の言葉に紫苑は恐る恐る顔を上げた。
その瞳には涙が浮かんでいる。
紫苑
俺ッ…、朝陽に嫌われたら生きていけないッ…、
朝陽
ッ〜〜!!
朝陽
(だ、だめだッ…可愛すぎるッ…、
怒りたくても怒れないだろッ…!)
朝陽は大きく深呼吸をすると、紫苑に問いかける。
朝陽
他に俺に隠してることは?
紫苑
…ぁ、え、とッ…
朝陽
…まだあるんだ?
紫苑
う、うん…、で、もッ…
朝陽
言って?言わないと嫌いになる。
脅しのような言葉だが、紫苑には効果絶大のようだった。


紫苑はボタボタと涙を落としながら口を開く。
紫苑
朝陽のッ…部屋、に…監視カメラ、つけ、たッ…
朝陽
…は?
朝陽の動きが停止する。


監視カメラ…?一体なんのために…?
そんな朝陽の疑問を察したのか、紫苑はボソッと喋り出す。
紫苑
朝陽のこと、好きすぎて…、ごめんな、さいッ…
朝陽
え、ちょっと待って…、
監視カメラって…いつ頃から?
紫苑
中学の時から、ずっと…。
朝陽
中学の時…!?嘘、だろ…!
朝陽はあまりに長い期間に目を見開く。


それと同時に言われるまで気が付かなかった自分の鈍感さに呆れてしまった。
朝陽
…はぁ〜…、あのなぁ、紫苑?
紫苑
…はい、
朝陽
好きって限度ってもんがあんだろ…。
やっていいことと悪いことの差はわかるだろ?
紫苑
…はい、
朝陽
盗撮も監視カメラも…普通に犯罪だからな?
紫苑
…ごめんなさい…、
紫苑は俯いて涙声でそう返事をする。
朝陽
…っていうかちょっと待てよ……?
朝陽は考え込む。
何年も前から俺の部屋を監視されてたってことは…、
まさか…、
朝陽
なぁ、お前さ…もしかして俺が1人でしてるとことか…見てた?
紫苑
…あ、それ、はッ……ま、ぁ…、
紫苑は曖昧な返事をして視線を逸らした。


否定しないのが全て物語っている。
朝陽
うわぁ"ッ〜!!嘘だろ!?嘘って言ってくれッ…!
朝陽は顔を真っ赤にさせて両手で顔を覆った。


あまりの恥ずかしさで瞳には涙が滲んでいた。
紫苑
で、も!大丈夫だよ、
俺もそれで抜いてたしッ……、……あ…、
紫苑はなんとか俺を慰めようとしたのだろう。


しかし再び問題発言をしてしまい、紫苑は自らの口を覆った。
紫苑
う、うそッ…忘れてッ…、
朝陽
いや無理だろ!!
二人の間に沈黙が訪れる。
朝陽
と、とりあえず…もう盗撮とか監視カメラとかはやめような?しれないとこでコソコソやられんのはいい気しないし。
紫苑
…分かった…、ごめんなさい。
朝陽
うん。いいよ。
…じゃあ、この後俺ん家きてくんね?
一緒に監視カメラの処理しに行こ?
紫苑
…うん、
朝陽の表情が和らぎ、紫苑の髪をわしゃわしゃと撫でた。
その後、2人は紫苑が設置した監視カメラの処理をするために朝陽の家へ移動した。


部屋に設置されていた監視カメラの量の多さに
朝陽が言葉を失ったらしい。
[END]

プリ小説オーディオドラマ