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第4話

ショムちゃんと休日の予定
 翌日の放課後、私は実里を呼び出して生徒会室で一緒に使わなくなった書類の整理をしていた。
 組織としての活動はなかったが、彼女と二人きりで話をする口実だ。
蘭子
蘭子
昨日は途中でいなくなってごめんね
 突然先輩に呼び出されたせいで、私は実里を教室に置いて行かなくてはならなくなってしまったのだ。
 謝ると、実里はふんわりとした笑顔を浮かべる。
実里
実里
大丈夫だよ。私もあの後図書室に用事があったし
実里
実里
それより珍しいね。蘭ちゃんがようかんサンドなんて
蘭子
蘭子
違うの。あれは……
 経緯を説明すると、実里はただでさえ丸い瞳をさらに丸くさせて驚いた。
実里
実里
え!? 宇田川先輩のパシリって……蘭ちゃんそれ、大丈夫なの!?
蘭子
蘭子
うん、今のところは
 うろたえる実里を安心させようと笑って見せるが、彼女は動揺の色を浮かべたままだ。
実里
実里
だって生徒会長だってしょっちゅう言ってるじゃない。『キプリウスのボスには近付くな』って
蘭子
蘭子
そうなんだけど……
 出会ってしまったのだからしょうがない。
 私が言うと、実里は首を振りつつ深くため息をついた。
実里
実里
他のメンバーには黙っておいてあげる。だけど蘭ちゃんも出来る限り関わらない方が良いと思う。だって宇田川先輩って、すごく怖いんでしょ?
蘭子
蘭子
……
 頭の中に、昼休みの光景が蘇る。頬を滑る柔らかな感触も一緒に思い出してしまい、私は一人で赤面した。
蘭子
蘭子
(確かに変人であることは間違いないんだけど……)
 それでも彼を『怖い人』で片付けてしまうのはなんだか憚られる気がして、結局私は何も言い返すことができなかった。



 *   *   *



 帰り道。

 気まぐれに立ち寄った書店で、夢中で女性向け雑誌を立ち読みする先客に私は小さな悲鳴を上げて立ち止まった。
蘭子
蘭子
……何してるんですか
 紙面から勢いよく顔を上げた宇田川先輩は、雑誌を片手に笑顔で私に近付いて来る。
宇田川
宇田川
あ~ショムちゃん! 丁度良いところに!
蘭子
蘭子
先輩、そう言う趣味だったんですね……
 若干引き気味に尋ねると、「違うってば」と彼は唇を尖らせる。
宇田川
宇田川
『すずちゃん』の誕生日が近いからさあ。プレゼント何にしようか考えてたって訳
蘭子
蘭子
すずちゃん?
宇田川
宇田川
うん。俺の愛しのガールフレンド
 先輩に彼女がいたことを初めて知った。

 何故か一瞬心の奥がもやっとしたが、相手は曲がりなりにもカリスマと崇められる不良グループのボスだ。
 彼女の一人くらいいて当たり前だ、と私は相槌を打つ。
宇田川
宇田川
そうだショムちゃん。明日時間ある?
蘭子
蘭子
土曜日ですか? 今のところ何もありませんけど……
宇田川
宇田川
じゃあ、すずちゃんのプレゼント選ぶの付き合ってよ
蘭子
蘭子
そんなの自分で考えれば良いじゃないですか!!
 思わず大声でツッコミが出る。呆れ果てる私を前に、先輩は「え~」とこちらへにじり寄って来た。
宇田川
宇田川
だって女性にあげるプレゼントだよ? 同性の意見も欲しいじゃん
蘭子
蘭子
(近い近い近い……!)
 距離を詰める私達の様子を、周囲のお客さんが不審な視線を投げかけて行く。
 冷や汗をかく私の耳元に、トーンを落とした先輩の声が響いた。
宇田川
宇田川
ショムちゃん。自分の立場分かってるよね?
蘭子
蘭子
行きます……
 その返答に、彼はぱっと笑顔になると私から顔を離す。
宇田川
宇田川
んじゃ、明日迎えに行くね!
 満面の笑みを浮かべる彼を前に、私は心の中で盛大なため息をつくのだった。