【あなたの下の名前said】
「ふふっ」
暗い部屋でひとり
スマホの通知をみて笑った
「会いたい」
だって
昔から言うことクサいの変わんないんだから
マサイくんと別れた
お互い最近忙しくてすれ違って2人の時間もとれなくなって
話し合って別れることになった
後悔はしていない
彼の仕事のじゃまにはなりたくなかったし、自分の仕事で精一杯な自分もいた
でも一年半ぐらい一緒にいた人が急にいなくなってしまうと
なにか足りない
諒がなんで会いたいって言ったのかベッドの上でぼーっと理由を考える
慰めてくれるつもりなのかな
あいつは不器用だけどけっこう優しい
あいつは
私のことが好きだ
高校のときあいつの友達が「諒、お前のこと好きらしいぞ~」って言ってきた
別に
特に意識したことはない
それを聞いたあとも普通に幼馴染みのままだった
なんでも言い合えるこの関係が心地よくてずっとこの状況に甘えていた
大学を卒業してからは仕事をしながらも諒との繋がりは消えてなかった
たまに編集を見せてもらったりちょっと手伝わせてもらったり
いつもふざけていたあいつが
真剣な顔でパソコンと向き合っている横顔が
なんだか好きで
もしかして私諒のこと…って考えたけど答えは出ない
ずっといちばん近くにいた人だから
好きだとか
恋人とか
分かんないよ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。