第29話

私が何をした
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2019/03/21 11:10
side 慧

小さい頃から俺は女が嫌いだ 。

本当に死ぬほど嫌いだ 。

何故かって ?









………___理由は簡単母親が嫌いだから 。














〜 幼少期 〜


母「……貴方っていっつもそうよッ!!」

父「………慧に悪気は無いのかッ?!」

母「そんな事言って、貴方こそ
慧に何かしてあげた事、1度もないくせに!」

父「お前は母親として慧に何かしたのかと
聞いてるんだよ !」

















やめて欲しい 。俺のためみたいに言うのは

別に 、何も思ってないくせに 。

2人ともあたかも俺の事を考えているような

物言いで話を進めていくんだ 。けど 、まぁ












いつもの事 、そう"コレ"が俺のうちの日常 。






おまけに母親は父親が忙しくて家に帰らない
不安やストレスを俺にぶつけるようになった









父は大企業の社長様 。んで母は社長夫人様 。

家はいつも広いリビングに俺と俺の執事だけ。









食事をするのも大きなテーブルに1人きりだ 。

誕生日だって豪華なホールケーキ食べ切れる

わけが無い 。それが俺には辛かった 。

残るケーキが 。大きなケーキが 、









いいや 、それだけじゃない 。

広いテーブルに沢山の食事を1人で食べる事 、

"ただいま"の後が"おかえりなさいませ"って事

別に豪華じゃなくていい 。普通でいいんだ 。

三ツ星シェフ? 特上の肉?ミシュラン?

そんな事どうでもいい 本当にどうでもいい 。






ただ普通に母親の暖かい料理が食べたかった。

ただ普通の家庭で食卓を囲みたかった 。
















1度でいい 。家族揃って笑い合いたかった 。
















でも 、俺の母親は俺と父さんを置いて

新しい男をつくって出ていった 。





でも 、悲しくはなかった 。

絶望 ?失望? ………いや 、幻滅したらしい

実の母親に捨てられる苦しみは

小さかった俺に相当 のトラウマを残した 。
















数年経って 、ある日 。

俺は幼稚園帰り執事と家の前を歩いていたんだ








すると前から俺の母親が男と 、小さな子供を連れて歩いてくるのを見た 。








困ったように戸惑う執事を横に 、

俺は泣きながら必死に走って家に帰った 。









その時の俺はまだ幼かったから 、
現実を受け止め切れなかったけど 。







成長して行くに連れて受け止めて行った
それと共に母親が嫌いになって 。







女が嫌いになった 。

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