side 慧
『………ここッ!!』
辺りのお墓とは離れた 。
教会の奥に 、広い庭のようなものがあった
沢山花が咲いていてまるで墓地じゃない 。
けど 、そこに4つの墓があった 。
慧「……へぇ?……雨音……琉生 ?」
『…………うん 、私の弟……のお墓?笑』
慧「………隣にも2つ雨音があるね 、」
『それはお父さんとお母さんの 。
雨音 悠歌(ハルカ) がお父さんで
雨音 夏生(ナツミ) がお母さん 。でこれが琉生の』
「………手 、合わせてもいい?」
『もちろん 、お願いしてもいい?』
「…………うん 。」
けど 、俺は異変に気付いた 。
確かあなたの家族構成ははあなたを
除いて父 、母 、琉生君の3人構成だったはず
「…………ねぇ?もう1つある墓は誰の?」
これだけ名前が掘られていない 。
『………それ?……それは 、私のだよ』
なんて 、笑いながらあなたは言う 。
理解が出来ない 。
「……どういうつもり?」
あなたは微笑んだまま答えてくれなかった 。
その後の車内では何事も無かったかのように
明日のことについて話していた 。
……………何を隠してるんだよ 、あなた 。
手を合わせた 、草の音が流れる 。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!