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第23話

一章
43
2021/10/07 22:46
そうそう忘れてたけどヒロインへの手紙書く人がいないから御相手様で
…あ、みけさんの御相手の呼び方・呼ばれ方が無いことに今気が付いた。教えて。一応入れてるけど教えてくれれば直す。
ひそひそと聞こえてくる声に、私は心の中でため息を吐いた。
皆さん、噂話が大好きなようで…。
私は、3年前から婚約していた幼馴染みと婚約を破棄した。
私には婚約者なんて邪魔でしかないかったからだ。
なのに、私が破棄されただの、飽きられただの、捨てられただの…ま、いいんだけど。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
…お嬢様。
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
あら、何かしら?
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
大丈夫でしょうか?
少々、顔色が悪いようでございますが…。
……この子、ほんと細かい変化に気づくわよね…。
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
大丈夫よ、ありがとう。
そう言って微笑めば彼女は少し寂しそうな表情を浮かべた。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
…そうですか。
そんなことを話している間に私は大広間の前までたどり着いていた。
公爵令嬢がエスコートなしで入場するなんて、前代未聞よね。
まぁ、別にいいでしょう?
私はもうすぐ公爵令嬢じゃなくなるのだから。
扉が、ゆっくりと開かれる。
中でざわめきが起こる。
私は表情を崩さずに入場した。
ユラ・フローレン
ユラ・フローレン
フィリア嬢、ようこそおいでくださいました。
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
ユラ王女殿下。お招きいただきありがとうございます。
そう言ってカーテシーをして、頭をあげた。
ユラ・フローレン
ユラ・フローレン
いえいえ、お聞きしたいこともございますし。
私は思わず一瞬顔をしかめた。
あなたまで…。
ユラ・フローレン
ユラ・フローレン
あぁ、安心してください。言いたくないことまで言う必要はございませんから。
そう言って笑みを浮かべる王女様に、お気遣いありがとうございます、と頭を下げる。
ネル・フィーク
ネル・フィーク
王女殿下、そろそろ…
ユラ・フローレン
ユラ・フローレン
えぇ。
ユラ・フローレン
ユラ・フローレン
それでは、またあとでお話ししましょう。
私は一度王女様に頭を下げ、姿を消すのを見送った。
ふと周りに目を配る。
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
・・・あら。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
どうかされましたか?
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
・・・いえ。もう一緒にいる必要はないから、別々に行動しましょう。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
……分かりました。では、失礼します。
そう言って彼女は私に頭を下げてその場から離れた。
私は先程目に入った人物たちを探す。
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
……いた。
ちょうど、外に出ようとしているところだった。
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
……お帰りになるのには少々早いんじゃないかしら。
私はその人たちの後を追おうとそちらを向いた。
その次の瞬間、後ろから声をかけられた。
グルッペン・ヒューラー
フィー……フィリア嬢?
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
…何でしょう、グルッペン様。
振り向いてそう微笑めば、彼は一瞬表情を歪めた。
グルッペン・ヒューラー
……元気だったか?
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
えぇ、ご心配なく。グルッペン様もお変わりないようで。
グルッペン・ヒューラー
あ、あぁ…。
ネル・フィーク
ネル・フィーク
フィリア様。
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
あら、ネル様。この前の夜会ぶりでございますね。
ネル・フィーク
ネル・フィーク
えぇ、そうですね…向こうで、私の友人がフィリア様とお話ししたいと言っていたのですが…よろしいでしょうか?
……あの人達を頬っておいていいのかは分からないけど、ここで断るのは……。
しかたなく、私は彼女に微笑んだ。
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
えぇ、嬉しい限りですわ。私も、皆さんとお話してみたいと思っておりまっしたの。
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
…では、グルッペン様。失礼いたします。
そう頭を下げてネル様に向き直る。
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
では、行きましょうか。
ネル・フィーク
ネル・フィーク
はい。
グルッペン・ヒューラー
ユアン・ベニ
そんな落ち込んでどうしたの?
グルッペン・ヒューラー
あぁ、ユアン…いや、ちょっとな。
ラダ・フィーク
どうせフィリア嬢関係でしょ?
グルッペン・ヒューラー
ショッピ・イロニー
まあグルッペンさんの悩みなんてそれぐらいっすからねー。
ユアン・ベニ
あ、そういえば婚約破棄されたんだっけ。
オスマン・フェスト
ちょ、ユアン君、それは…
ロボロ・クライン
おまっ、それ禁句…!
ユアン・ベニ
え?
グルッペン・ヒューラー
……なんでいきなり…何の前触れもなく…なぁ、なんでだ…?
何がだめだったんだゾ…?
ユアン・ベニ
え、ちょ、え、ねえどうすればいいこれ⁉
ラダ・フィーク
…こうなっちゃったらどうにもできないなぁ。
ロボロ・クライン
めんどくせぇ…。
ユアン・ベニ
えぇぇぇ…。
ルイ・レイラー
ルイ・レイラー
…バレそうだったねー。
ウツ・レイラ―
今回はアウトかと思ったわ……!
マリー・メリアス
マリー・メリアス
…鋭い人、居ました。
多分バレてる。
ルイ・レイラー
ルイ・レイラー
まあバレてたらバレてたでその時でしょー。
ウツ・レイラ―
めんどくさいだけじゃあ…。
ルイ・レイラー
ルイ・レイラー
そうだけど?
マリー・メリアス
マリー・メリアス
割り切らないで。
さっさと着替える。
ルイ・レイラー
ルイ・レイラー
分かってる。
その会話を聞いて私は確証した。
なるほど、お嬢様はこの人達を見つけてあの反応だったのか。
僕はわざと音を立てて3人に近づいた。
コツコツと鳴る音に、3人がこちらを見た。
先ほどと打って変わって警戒心丸出しになっていたり、無表情でただこちらを見ていたり、マイペースに服をカバンから取り出していたりと反応は三者三様だった。
自由過ぎる。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
…こんにちわ、皆様。
ウツ・レイラ―
……だれや、アンタ。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
あら、それはこちらのセリフですよ?
貴方達、招待客ではないでしょう?
マリー・メリアス
マリー・メリアス
…幼馴染みに誘われまして。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
幼馴染み、ですか?
マリー・メリアス
マリー・メリアス
幼馴染みのルナ…ルナ・メイフィールドに。
確認したいのなら、どうぞご自由に。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
……貴方達は、何者ですか?
ウツ・レイラ―
…俺、らは…
そう彼はもう一人の男性に視線を移した。
彼はめんどくさそうに頭をかいて、僕を見た。
ルイ・レイラー
ルイ・レイラー
俺達は情報屋。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
情報屋……あぁ、貴方達が噂の。
ウツ・レイラ―
…噂になってんの?
マリー・メリアス
マリー・メリアス
…顔が割れてなさそうでよかった。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
まあ、顔は割れてませんが…誰かからの依頼ですか?
ルイ・レイラー
ルイ・レイラー
いいや?ただの情報収集。
ウツ・レイラ―
ここ2週間ぐらい依頼が来てないんだよね~。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
それは…いいことのような、そういうわけでもないような…?
マリー・メリアス
マリー・メリアス
…嫌なことでもなければ、いいことでいい。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
大雑把すぎません?
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
……まあ、それなら帰ってもらっても問題はなさそうですね。
ルイ・レイラー
ルイ・レイラー
んじゃ、そーいうことで。
いつの間にか3人は着替えており、廊下の窓は開いていた。
バサバサと揺れるカーテンに、思わずつぶやいた。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
いつの間に…
マリー・メリアス
マリー・メリアス
…また会うことが無ければ、いい。
ウツ・レイラ―
じゃあね~。
3人は窓から飛び降りた。
私が慌てて窓に近寄り下を見ると、3人はすでに着地しており外の方へかけて行っていた。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
……噂より、バケモノじみてますね…。
オスマン・フェスト
こんなところに居ためうね。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
…オスマン。
オスマン・フェスト
居なくてびっくりしためう。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
ご、ごめんなさい…
オスマン・フェスト
大丈夫めうよ~。
と、いうかまあ…ちょっと感謝してる面もあるめう。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
感謝?
オスマン・フェスト
グルッペンが…
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
……あー、ね。
なるほど、お嬢様関係でだれか口を滑らしたか。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
あの人、普通に好きでしたもんね。
オスマン・フェスト
うん、かわいそうに思えてくるレベル。
ミケ・ツェーリア
ミケ・ツェーリア
…なんでいきなりお嬢様はそんなことを言い出したんでしょ?
オスマン・フェスト
…さあ…?
僕たちは薄暗い廊下の隅で、首をひねりあった。
一方その頃、その噂の”お嬢様”は、
ノア・サブレア
なんで婚約破棄したんですか?
ルナ・メイフィールド
そうですよ。割と好条件だったと思うんですが…。
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
それは…少々、事情がありまして…。
質問攻めにされて少し引いておりましたとさ。
チィ・ヒョウキ
チィ・ヒョウキ
事情、ですか?
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
えぇ…。
ルナ・メイフィールド
どんな事情なんです?実はダメ人間だったとか?
ネル・フィーク
ネル・フィーク
流石にそれはないでしょう…?
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
それは仮に本当だとしても言っちゃいけないパターンでは?
ノア・サブレア
え、じゃあ本当だったんですか?
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
…いいえ。これは、私個人の問題よ。
チィ・ヒョウキ
チィ・ヒョウキ
個人の問題って…どういう…。
恐る恐るといったふうに聞くチィに、フィリアは少し眉を寄せ、呟いた。
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
……死にたくないの。
ノア・サブレア
え?
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
いいえ、なんでも。
フィリア・ユースティア
フィリア・ユースティア
…そろそろ、私はお暇しますね。
ルナ・メイフィールド
はい、またお話ししましょう!
フィリアは礼をして、その場を去った。
ネル・フィーク
ネル・フィーク
(…さっき…"死にたくない"って…)
ネル・フィーク
ネル・フィーク
(どういうこと?婚約していたから死ぬなんてないと思うのだけれど…。)
チィ・ヒョウキ
チィ・ヒョウキ
ーん?ネルさん?
ネル・フィーク
ネル・フィーク
あ、はいなんでしょう?
ノア・サブレア
ぼーっとしてらしたので…体調がすぐれないのですか?
ネル・フィーク
ネル・フィーク
あぁ、ちょっと考え事を…。
チィ・ヒョウキ
チィ・ヒョウキ
考え事、ですか?
ネル・フィーク
ネル・フィーク
はい。あまり気にしないでください。
ルナ・メイフィールド
でも…少し、顔色が悪いように感じますが…。
ネル・フィーク
ネル・フィーク
…最近、少し忙しくて。
ネル・フィーク
ネル・フィーク
(いやまあ近くで起きるキャットファイトが原因なんだけど。)
ラダ・フィーク
おーい、ネル―。
ネル・フィーク
ネル・フィーク
あれ、らだ?
チィ・ヒョウキ
チィ・ヒョウキ
あ、ゆあんくん。
ユアン・ベニ
やほ。
ネル・フィーク
ネル・フィーク
どうしたの?
ラダ・フィーク
…逃げてきた。
ネル・フィーク
ネル・フィーク
え?何から?
ラダ・フィーク
…色んな人から。
ユアン・ベニ
僕のせいなんだけどいまグルッペンさんすんごくめんどくさいことになっててねー。
チィ・ヒョウキ
チィ・ヒョウキ
めんどくさいこと?
ノア・サブレア
…もしかして口にしました?婚約破棄されたって。
ユアン・ベニ
うん…。
チィ・ヒョウキ
チィ・ヒョウキ
思いっきり失言してますね?
ラダ・フィーク
そうそう、だからすごくめんどくさいの。
ネル・フィーク
ネル・フィーク
あー…。
ネルは、確かにそれは面倒、と呟いた。
ルナ・メイフィールド
う~ん…ほんとに何で婚約破棄したんでしょう?
チィ・ヒョウキ
チィ・ヒョウキ
3年も前から婚約してたのに…今回、だいぶ急いで婚約を破棄する準備を進めたそうですよ。
ノア・サブレア
不思議ですよねぇ。
ネル・フィーク
ネル・フィーク
(多分、あの言葉が"鍵"なのよね…)
ユラ・フローレン
ユラ・フローレン
うぅん…もう帰っちゃったみたいね…。
話聞きたかったのに。
ロボロ・クライン
誰がだ?
ユラ・フローレン
ユラ・フローレン
…!
ユラ・フローレン
ユラ・フローレン
び、びっくりした…後ろからいきなり声は書けないでくださいな。
ロボロ・クライン
すまんすまん、で、誰が帰ったって?
ユラ・フローレン
ユラ・フローレン
フィー…フィリア様よ。
ついついいつもの癖で愛称で呼びそうになる。
フィーちゃんって呼びかけた、危ない。
ロボロ・クライン
え?いつの間に。
ロボロ・クライン
めんどくさいグルッペンをどうにかしてほしかったんやけど…。
ユラ・フローレン
ユラ・フローレン
それは無理じゃないかしら…。
ロボロ・クライン
いや、面倒な所見せたくないっていうから本人が行けば止まる。絶対に。
ユラ・フローレン
ユラ・フローレン
…そんなものなのかしら。
ロボロ・クライン
そんなものだよ。
ユラ・フローレン
ユラ・フローレン
…恋って難しいわね。
ロボロ・クライン
だな。
はい、お待たせしました。
一章は異世界組しか出ません。
Prologueも天界組しか出なかったし、分かってた人もいる…と、思う。
次は時間が少し巻き戻って現代組。
時間軸おかしいね。

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