無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第33話

十日目 巧翔
誰か、誰でもいいから会っても話がしたくて、白詰の家に着た。

芹澤は当然のように休み。
菊地さん、姫川さん、川岸さんは、家を知らない。

だから白詰の家。

意外な事に白詰も学校を休んでいたらしい。

何度か連絡したけど、全部無視された。

白詰なら無理してでも行くと思ってたけど、そんなことないんだな。
浜田巧翔
浜田巧翔
ほら、白詰の番だぜ。
白詰は顔をあけで、こっちを見ている。

目元は真っ赤で腫れていて、大泣きしたあとなのが分かる。


少しの間、口を開いて閉じてを繰り返していたが、ついに話し出した。
白詰華鈴
白詰華鈴
私は、忘れたいです。
白詰華鈴
白詰華鈴
能力も代償も欲しくない。
でも、今までの事、能力を貰ってから昨日までの事、全て忘れたいです。
白詰華鈴
白詰華鈴
この前浜田先輩言ったじゃないですか、なんでも記憶出来るって辛くないの?って。
浜田巧翔
浜田巧翔
うん。
よく覚えていたな。


そんな質問、俺も忘れてた。
白詰華鈴
白詰華鈴
辛いですよ。
白詰華鈴
白詰華鈴
本当に辛い。
白詰華鈴
白詰華鈴
今までは全部覚えていたからなんとも思わなかった。
白詰華鈴
白詰華鈴
でも、今じゃもう、教科書のどのページになにが載ってるとか、この前覚えた筈の英単語とか、全部分からないんです。
白詰華鈴
白詰華鈴
なのに、昨日のことは全部覚えてる。
白詰華鈴
白詰華鈴
本当に忘れたいと思う事って、あるんですね。
白詰華鈴
白詰華鈴
本当に忘れたい記憶が残るのは辛い。
白詰華鈴
白詰華鈴
今日初めて知りました。
そこまで話すと白詰はまた顔を伏せた。
白詰華鈴
白詰華鈴
覚えていたいことは忘れてしまうのに、忘れたい事ほど忘れられない。
そう言った白詰の声は震えていた。



気付いたら俺は、手を伸ばしていた。



伸ばした手は、白詰に届かなくて俺は寄りかかっていたドアから離れる。


白詰に少し近づいて、手の届く場所で止まる。

そのまま、伸ばした手で白詰の頭を撫でた。


白詰は一瞬ハッとしたように起き上がりかけたが、また蹲る。
浜田巧翔
浜田巧翔
記憶ってそんなもんだよ。
浜田巧翔
浜田巧翔
忘れたいって思えば思うほど忘れられないんだ。
浜田巧翔
浜田巧翔
でもそこで、考えることを止めてしまうと、いつの間にか記憶がなくなっている。
浜田巧翔
浜田巧翔
それってむしろ怖いじゃん。
浜田巧翔
浜田巧翔
だからさ、
俺はそこで一呼吸置いてから話した。

この答え言葉が正しいのかどうか、俺には分からない。


でも、今の俺にはこれくらいしか言ってやれないから。
浜田巧翔
浜田巧翔
覚えとこうぜ。辛いことも苦しいことも、全部。
それはきっと辛いことだろう。

それでも、俺はそれが一番良いって思うんだ。
浜田巧翔
浜田巧翔
それに、その辺の事全部忘れたら....まあ芹澤の事は前から知ってるっぽいからあれだけど、
俺の事、菊地さんや姫川さん、川岸さんの事も全部忘れるって事だろ。
浜田巧翔
浜田巧翔
それは嫌だし。な。
そこまで話すと白詰は顔をあげた。
白詰華鈴
白詰華鈴
そう、ですね。
そう言った白詰の顔は少し明るくなっていた気がした。









______________
浜田巧翔
浜田巧翔
じゃあ、そろそろ俺帰るから。
白詰華鈴
白詰華鈴
はい。来てくれてありがとうございました。
あのあとは、お互いが落ち着くまでくだらない話をしていた。

最近はまってる食べ物とか、よく読む本とかの話。


本当にくだらない会話だったが楽しい時間だった。
浜田巧翔
浜田巧翔
じゃあな。白詰。
白詰華鈴
白詰華鈴
はい、さようなら。
白詰に軽く手を振ってから、玄関のドア開けて外に出る。
白詰華鈴
白詰華鈴
あ、そう言えば、
ドアを閉めようとした瞬間に白詰が思い出したように話し出した。
浜田巧翔
浜田巧翔
なにかあったか?
白詰華鈴
白詰華鈴
葉桜さんの声、
白詰華鈴
白詰華鈴
とっても綺麗な声ですよ。
そう言って白詰は優しく笑った。
浜田巧翔
浜田巧翔
......ああ、知ってる。
きっと誰よりも綺麗な声をしてるよ。葉桜は。


そう思いながら俺も笑い返した。