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第32話

十日目 華鈴
私は気付いたら家に居た。

昨日の記憶は嫌という程覚えている。

忘れる訳がない。

忘れさせてくれない。


葉桜先輩の笑顔、

桔梗の花のような、美しく咲く桔梗の花の様な、笑顔...
白詰華鈴
白詰華鈴
なんで...思い出せないの...っ!
忘れたい。

忘れちゃダメ。

忘れたい。

忘れちゃダメ。



忘れてはいけない。



筈なのに...
白詰華鈴
白詰華鈴
葉桜...先、輩.....
忘れたい。
白詰華鈴
白詰華鈴
葉桜、先輩...
忘れちゃダメ。
白詰華鈴
白詰華鈴
葉桜...せ、ん輩
忘れたい。
白詰華鈴
白詰華鈴
はざ、く、ら...先ぱ、い
忘れちゃダメ。
白詰華鈴
白詰華鈴
葉桜先輩...っ!!!
...忘れたいよっ!


全部忘れたい。

能力の事も、吸血鬼の事も、代償の事も、葉桜先輩の事も、


全部、全部、全部っ!!!
白詰華鈴
白詰華鈴
忘れてしまいたい。
そしたらきっと楽になれるのに...





_______________






私はその日、学校に行く気になれず、学校を休んだ。


初音が何度か連絡をくれたが、全部無視した。

今は、誰の声も聞きたくなかったのだ。
そしたらきっと楽になれるのに...





_______________






私はその日、学校に行く気になれず、学校を休んだ。


初音が何度か連絡をくれたが、全部無視した。

今は、誰の声も聞きたくなかったのだ。



ピンポーン



あ、誰か来た。
.....華鈴、お友達来てるよ。
お母さんが遠慮がちにドアの外から声を掛けてくる。
白詰華鈴
白詰華鈴
........帰ってって言って。
きっと、初音だろう。

わざわざ家まで来るなんて。

心配してくれてるのは嬉しいけど、今は1人にして欲しい。
すみません、ちょっと中入りますね。
ええ、どうぞ。
.......あれ

今の声、初音じゃない...?
白詰、ちょっと話さない...?
あ....


浜田先輩だ。


浜田先輩なら会ってもいい...かな?
白詰華鈴
白詰華鈴
入ってどうぞ。



ガチャ






そういえば、男の人部屋に入れるの初めてかも。

前、浜田先輩が来たときはリビングだったし。


浜田先輩は中に入ると部屋のドアを閉め、ドアに寄りかかるように座った。
浜田巧翔
浜田巧翔
白詰さ、やっぱ能力があった方がいいなって思う?
白詰華鈴
白詰華鈴
......思いません。
浜田巧翔
浜田巧翔
だよな。
即答ですか。

分かっているなら聞かないで下さいよ。
浜田巧翔
浜田巧翔
能力は、やっぱいらないよな。
浜田巧翔
浜田巧翔
でもさ、俺。
浜田先輩はそう言って一呼吸おくと、衝撃的な事を言った。
浜田巧翔
浜田巧翔
代償は欲しいよ。
白詰華鈴
白詰華鈴
え....?
浜田巧翔
浜田巧翔
今まで、耳聞こえなかったのに、突然聞こえるようになって、
皆の声聞いて、あ、こいつってこんな声してたんだって、驚いたやつ、沢山いたよ。
白詰華鈴
白詰華鈴
.....学校、行ったんですか?
浜田巧翔
浜田巧翔
うん。行った。
浜田先輩、凄いな。

私には学校に行く勇気すらなかったのに。
浜田巧翔
浜田巧翔
そんでさ、思ったんだよ。
葉桜はどんな声してたんだろうって。
あ、そっか。

浜田先輩は聞いたことないんだ。

葉桜先輩の声を。
浜田巧翔
浜田巧翔
俺がずっと、耳が聞こえないままだったら、こんなこときっと思わなかった。
浜田巧翔
浜田巧翔
だったら俺は耳が聞えない方がよかった。
浜田巧翔
浜田巧翔
皆の声は聞こえない。でも、
浜田巧翔
浜田巧翔
耳が聞こえなくたって何て言いたいのか位分かるから。
浜田巧翔
浜田巧翔
表情見てれば、だいたい。
白詰華鈴
白詰華鈴
そう、ですか。
浜田巧翔
浜田巧翔
ああ。
少しの間、沈黙が続いたがすぐに浜田先輩が口を開いた。
浜田巧翔
浜田巧翔
俺の話はこれで終わり。
次は白詰の番だぜ。なんでも話せよ。辛いこと、全部。
そう言われて、私ははっと顔をあげた。

きっと私の顔は醜く、汚い顔をしているだろう。

でも、私の目に移った浜田先輩の顔は、驚くほど優しくて、綺麗だった。