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第31話

九日目;華鈴
エル
葉桜真珠。君だ。
その言葉を聞いた途端に芹澤先輩がまた大声を出した。
芹澤晴斗
芹澤晴斗
ふざけんな!なんで真珠なんだよ!!
そう言った時の芹澤先輩は今までにないくらい、険しい表情をしていた。

それに比べて葉桜先輩は冷静な表情をしている。
少し安心しているようにも見える。
芹澤晴斗
芹澤晴斗
俺でいいだろ!
エル
うーん。でも君は代償を取り戻してるからね。もう普通の一般人なんだよ。
それだと扱いにくいんだ。
芹澤晴斗
芹澤晴斗
なんだよそれっ!
エル
それに、能力を最近手に入れた人も扱いにくい。葉桜真珠が一番最初に能力を手に入れていたからね。
そんな、理不尽な理由で...


私、私なら変わりになれる!!

私は能力を貰ったのは随分前だった筈だし、代償だってまだある!
白詰華鈴
白詰華鈴
あの、私が...!
“変わりになる”

そう言う前に誰かに口を塞がれた。


浜田先輩だ。
浜田巧翔
浜田巧翔
白詰、それは駄目だ。
白詰華鈴
白詰華鈴
ど、どうしてですか!浜田先輩だって葉桜先輩がいなくなるの嫌じゃないんですか!
浜田巧翔
浜田巧翔
それは皆同じだ。白詰がいなくなるのも嫌だろ。
白詰華鈴
白詰華鈴
でもっ.....!
浜田巧翔
浜田巧翔
それに...
葉桜先輩がこっちに近づいてくる。

私の前までくると葉桜先輩はふっと笑みを溢した。
葉桜真珠
葉桜真珠
白詰さんありがとね。でも私は大丈夫だよ。
白詰華鈴
白詰華鈴
そんな...大丈夫な訳.....
葉桜真珠
葉桜真珠
ううん。大丈夫。
そう言って、葉桜先輩はまた笑った。

まるで桔梗のような美しく、優しい笑顔だった。


葉桜先輩は後ろを向くと今度は芹澤先輩のところに歩いていった。
葉桜真珠
葉桜真珠
晴斗。
芹澤晴斗
芹澤晴斗
なんだよ。俺は絶対認めないぞ。
葉桜真珠
葉桜真珠
うん。そうだろうね。
でも、私はやるよ。
芹澤晴斗
芹澤晴斗
......
葉桜真珠
葉桜真珠
最後くらい笑ってよ。
芹澤晴斗
芹澤晴斗
笑ったところで今のお前には見えないだろ。
葉桜真珠
葉桜真珠
まあね。でも目が見えなくても皆の表情はちゃんと分かってるから。
芹澤先輩は全く笑わなかった。
葉桜真珠
葉桜真珠
笑わない...か。まあいいや、晴斗。
葉桜先輩は一呼吸おいてから言った。
葉桜真珠
葉桜真珠
ありがとう。
真っ直ぐに芹澤先輩を見つめる葉桜先輩とは逆に芹澤先輩は葉桜先輩と目を合わせようとしなかった。
芹澤晴斗
芹澤晴斗
.....ふざけんなよ
離れていたからなんて言ったか聞き取れなかったけど、葉桜先輩には聞こえたらしい。

でもなんのリアクションもなくエルの声が聞こえていた方を向いた。
葉桜真珠
葉桜真珠
エル。
葉桜先輩がエルに呼び掛ける。
エル
別れの挨拶はすんだかい?
少し間を開けて葉桜先輩が言った。
葉桜真珠
葉桜真珠
うん。大丈夫。
エル
そうか、じゃあおいで。
そう言うと葉桜先輩の目の前に扉が現れた。

葉桜先輩はその扉を開けて、一歩足を踏み入れる。


もう皆なにも言えなくてただ黙って見つめていた。

葉桜先輩はそのままなにも喋らずに、振り返らずに歩いていってしまった。



葉桜先輩の姿が見えなくなると、扉は自動的に閉じた。

皆唖然とその扉を見つめていた。


少しすると小さな泣き声が聞こえてきた。

芹澤先輩だ。


幼馴染みが黙って目の前から消えてしまう。

きっともう会うことは出来ないなんて...


どれくらい辛いこのなのか想像したくもない。


こんな辛い事、全て夢ならどれだけ嬉しかっただろう。




こんな辛い記憶、早く忘れてしまえればいいのに─────。