………待って?今お父さん「ジョースター家」って言った?と私は一旦冷静に立ち止まった。
ジョースター…どう考えても日本人のお家の名前とは思えない。きっとどこか英語圏とかその辺りの国の名前だ。
もしや…私………国際婚たるものをしようとしている…?と思わず冷や汗をかいた。どうしようか、花嫁修行以前に英語が本当に苦手なんだけど…。
私、英語の何が分かるんだろう。ハローは分かる、サンキューも分かる、後は………グッモーニン?………絶望的だ。
きっと両親も私の英語スキルが絶望的だと言うことは分かっているはず。そこを利用してお見合いを回避しようではないか。だって独身が良いんだもん。
なんと言うことだ、両親は完全に家庭教師を雇うつもりでいる。こんなお家の家主なんだ、家庭教師雇うくらいのお金、すぐに出してしまうだろう。
無理だ…花嫁修行と一緒に英語のお勉強もするの…?お父さん、お母さん、それはちょっと課題が多すぎやしませんか…。
しかしそんな私の気持ちを当然知らない両親は「そうとなれば早速優秀な人を」とか真面目に話し合っている。団結力満点だ。
私はその場でガックリと項垂れた。小さい頃からお世話になっているメイドの人が「まあまあ」と優しく背中をさする。
こうして私の過酷な花嫁修行と英語のお勉強が始まった。一体どうなってしまうのやら…。
お父さんによればジョースター家の方との最初のお見合いは来月らしい。ちょっと早すぎませんかお父さん。
ジョースター家は私達の家とは比べ物にならないくらい凄い貴族のお家だ、恥を晒すことは何が何でも許さんと圧をかけられた。
流石に私も…男性の前で恥ずかしい真似はしたくないし…やるしかないよね。なんなら両親を驚かせるくらいのつもりでやろうじゃあないの、花嫁修行と英語のお勉強。
正直ちょっと無謀な気もするけど…お見合いの希望が来たと言うのならば、私なりに頑張るべきなのだろう。
取り敢えず今日の分の修行やらお勉強やらが終わったので自室でのんびりしつつそう呟いた。かなりハードだった。
明日もこうなるのか…ホント、結婚ってやんなっちゃうね。いくらしきたりとは言えど。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!