お見合いは大成功に終わった。皆さんとっても優しい方々で、話していて楽しかった。忘れた頃には緊張もかなり和らいでいた。
こうして私と彼等との結婚はトントン拍子で進んでいった。あ、結局旦那様は5人なんだなと思ったが、もうノーコメントとしておく。
そして私の花嫁修行は更に過酷なものになった。何せ相手がとんでもない貴族のお家なので、不味い料理を出すわけにはいかないと言うことらしい。
それは私も思うけれども!思いますけれども!!お母さんちょっと厳しすぎませんか!!お母さんそんなスパルタでしたっけ!?
と言うのも、私が練習で料理をしているのをジーーーーーーッと真横から見ているのである。勿論それだけにはとどまらない。
まず、野菜を切っている時点ですぐにダメ出しが入る。大方「大きさがバラバラ!そんなんじゃ見映えが悪くなるでしょう!」とか「切り方が汚い!」のどちらかだ。
私は手先がどうも不器用なので料理は苦手なのだが、ここまで言われるともう凹んでしまう。モチベがガンガン削られてます()
そう涙ながらに(?)叫びながら修行が続いた。お母さんは料理がプロ顔負けってくらい上手いから学びになっているのは確かなのだが、如何せんスパルタ過ぎる。
しかも、私も私で目に見える成長はしていないように感じる。次に旦那様達にお会いする日はもう近いと言うのに。
まずいまずい、間に合わない。いざ結婚した時超絶見た目も味も悪い料理を出したら………あっという間に離婚一直線では…!?
流石にそれがあってはいけない。お父さんやお母さんの顔に泥を塗るような真似だけはしたくないよ!!
は、仗助さんがこの場にいたことに驚きすぎたあまり見苦しいところをお見せてしまった。慌てて体勢を持ち直して、ペコリと礼をした。
さらっとそう言ってのけた彼を前にビックリして真っ赤になる私。このお方…このお方絶対女慣れしているな…!!
そんな私を見て小さく笑った仗助さんは、私の横にあるお味噌汁が入ったお鍋に視線を写した。
あ、見られてしまった…具の大きさがバラバラで実にゴロゴロしている奇妙なお味噌汁を…。
これを召し上がられることにかなり緊張を覚えたが、あまりにも仗助さんが喜んでらっしゃるから、思わず私まで笑顔になった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。