第2話

過去の出来事(その1)
22
2018/02/21 14:04
ー遡ること2年前ー

当時中学2年だった真斗は、自分の部屋でTVゲームをしていた。
と、そこに

『まー君!まー君!♪』

という元気な女の子の声が、家の外から聞こえてきた。
気付いた真斗は、慌てTVゲームのリモコンを置き、部屋の窓を開ける。

『…なぎ、どうした…?』
『あ、まー君!外で一緒に遊ぼうよ!まー君の事だから、絶対ゲームしてたでしょ〜?w』

そう言って少女は満面の笑顔を見せる。
背が低く、髪をツインテールにまとめ、童顔で少し幼く感じられるこの少女の名前は星埜渚(ホシノナギサ)。真斗の家の隣に住んでいる幼稚園からの同い年で幼なじみの1人だ。

『…あはは…やっぱバレた?w』

図星をつかれた真斗は何も言えず、ただバツが悪そうに頭をかいて苦笑いを浮かべる。

『分かるよ!まー君の事なら何でも、ね?』

渚はそう言うと、笑顔で持っていたサッカーボールを掲げる。

『ねぇまー君!パパにサッカーボール買ってもらったから、公園でサッカーやろうと思ってるんだけど一緒にやらない?まー君、サッカー好きでしょ?』

渚はそう言って楽しそうにサッカーボールを高く上げる。

『…あぁ!今行くから待ってろ…!』

真斗は笑顔で頷くと、部屋の窓を閉めてTVの電源を落とし、クローゼットを開けると服を漁り始めた。

『どんな服にすれば、なぎは振り向いてくれんだろ…っ!//』

ふとそんな捨て台詞をボソッと吐くと、不意に我に返り、自分の言った言葉に羞恥心を抱き、顔を赤く染める。

『俺は何言ってんだろ…そんなことあるはずねぇのに…』

そんな様なことをブツブツと呟きながら着替える。

一方、渚はというと…

『まー君の好きな物に合わせれば…まー君、振り向いてくれるかな…?//』

真斗が来るのを待ちながら、ふとそんな事を考えていた。

真斗は着替え終わると、急いで十字架のネックレスを付け、靴を履いてドアを開ける。
十字架のネックレスは、真斗の誕生日に渚がプレゼントしてくれた真斗のお気に入りだ。
渚と一緒に遊ぶ時は、毎日身に付けているのだ。

『なぎ、お待たせ!ごめん結構時間かかって…』

真斗は家を出ると申し訳なさそうな表情を浮かべる。

『ううん、大丈夫!さ、早く行こ!時間無くなっちゃうよ!♪』
『あぁ、行こう!』

渚はそう言うと公園に向かって走り出す。
真斗も頷き、笑顔で走って渚の後を付いていく。

2人はまだ知る由もない。
この先で、2人の人生を揺るがすある事に巻き込まれることなど…。

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