『まー君早く早く〜!』
渚は笑顔で振り向き、真斗の手を取る
『…っ!//…わ、分かったから…!手ぇ離せよ…//』
真斗は照れながらそう答えると、
『え?手、繋いじゃダメ…?』
渚はそう言うと、少しシュンとする。
『…別に、ダメじゃねぇけど…//』
真斗は恥ずかしさのあまり、渚と目を合わせることが出来なかった。
『やった!じゃあこれで行こ!♪』
渚は嬉しそうに真斗の手を引き再び歩き出す。
真斗は手を引かれると、少しよろめくが渚の横へ行き公園まで歩く。
公園に着いた2人は、双方に広がり向かい合ってボールを蹴った。
『まー君、サッカーって楽しいね!
まー君がサッカー続けてる理由がよく分かった!♪』
渚は笑顔でそう言った。
『だろ?だからやめられないんだよな♪』
真斗は嬉しそうにそう答えてボールを蹴る。
『てやっ!♪』
渚はそう言ってボールを蹴ると、ボールは大きくカーブし、公園の隅の方へ転がっていく。
『おわっ!?』
真斗はそれに驚き、慌ててボールを取りに行く。
すると突然…
『…っ…ゲホッ』
渚の咳き込む声が聞こえた。だがその矢先…
ベチャ…地面に液体が落ちる音がした。
真斗はその音に気付き振り向く。
そして真斗が目にしたのは…
『…ゲホッ…ゲホッ』
口を抑えて縮こまる渚。そして、彼女の口から真っ赤な液体が垂れている。
地面にはその赤い液体が…。
吐血したのだ。
『…ゲホッゲホッ!』
渚はしばらく咳き込むと、その場に倒れ込む。
『…なぎ?……なぎ!?』
その異常事態をやっと飲み込んだ真斗が急いで渚の元へ駆け寄る。
渚は意識を失っていた。
『なぎ!?しっかりしろ、なぎ!!』
真斗は渚の体を支え、ただ叫ぶ事しか出来なかった。
『…どうしたn…きゃ〜!!救急車、救急車!!』
通りすがりの女性が慌ててケータイを出すと救急車に連絡してくれた。
その後救急車が到着し、真斗も付き添いで乗車することになった。
『…なぎ…どうしたんだよ…』
ふとそんな事を呟くと、1人の救急隊員が衝撃の事実を語った。
『…え、君…彼女が病気を抱えてる事、知らなかったの…?』
え?真斗が驚きの表情で救急隊員を見る。
そう、その救急隊員は、何度も渚を運んでいる救急隊員だったのだ。
『…なぎが…病気…ですか…?』
驚きを隠せない真斗は思わずそう聞いた。
『うん、確か生まれつき心臓に持病があるみたいだよ…?』
なぎが…病気…?嘘だろ…?
そんな事を思いながら真斗は渚を見ていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。