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第3話

過去の出来事(その2)
9
2018/02/22 07:48
『まー君早く早く〜!』

渚は笑顔で振り向き、真斗の手を取る

『…っ!//…わ、分かったから…!手ぇ離せよ…//』

真斗は照れながらそう答えると、

『え?手、繋いじゃダメ…?』

渚はそう言うと、少しシュンとする。

『…別に、ダメじゃねぇけど…//』

真斗は恥ずかしさのあまり、渚と目を合わせることが出来なかった。

『やった!じゃあこれで行こ!♪』

渚は嬉しそうに真斗の手を引き再び歩き出す。
真斗は手を引かれると、少しよろめくが渚の横へ行き公園まで歩く。

公園に着いた2人は、双方に広がり向かい合ってボールを蹴った。

『まー君、サッカーって楽しいね!
まー君がサッカー続けてる理由がよく分かった!♪』

渚は笑顔でそう言った。

『だろ?だからやめられないんだよな♪』

真斗は嬉しそうにそう答えてボールを蹴る。

『てやっ!♪』

渚はそう言ってボールを蹴ると、ボールは大きくカーブし、公園の隅の方へ転がっていく。

『おわっ!?』

真斗はそれに驚き、慌ててボールを取りに行く。
すると突然…

『…っ…ゲホッ』

渚の咳き込む声が聞こえた。だがその矢先…
ベチャ…地面に液体が落ちる音がした。
真斗はその音に気付き振り向く。
そして真斗が目にしたのは…

『…ゲホッ…ゲホッ』

口を抑えて縮こまる渚。そして、彼女の口から真っ赤な液体が垂れている。
地面にはその赤い液体が…。
吐血したのだ。

『…ゲホッゲホッ!』
渚はしばらく咳き込むと、その場に倒れ込む。

『…なぎ?……なぎ!?』

その異常事態をやっと飲み込んだ真斗が急いで渚の元へ駆け寄る。
渚は意識を失っていた。

『なぎ!?しっかりしろ、なぎ!!』

真斗は渚の体を支え、ただ叫ぶ事しか出来なかった。

『…どうしたn…きゃ〜!!救急車、救急車!!』

通りすがりの女性が慌ててケータイを出すと救急車に連絡してくれた。

その後救急車が到着し、真斗も付き添いで乗車することになった。

『…なぎ…どうしたんだよ…』

ふとそんな事を呟くと、1人の救急隊員が衝撃の事実を語った。

『…え、君…彼女が病気を抱えてる事、知らなかったの…?』

え?真斗が驚きの表情で救急隊員を見る。
そう、その救急隊員は、何度も渚を運んでいる救急隊員だったのだ。

『…なぎが…病気…ですか…?』

驚きを隠せない真斗は思わずそう聞いた。

『うん、確か生まれつき心臓に持病があるみたいだよ…?』

なぎが…病気…?嘘だろ…?

そんな事を思いながら真斗は渚を見ていた。

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