__ニコライ、フョードルのこと殺すんでしょ?__
そう問うと、彼は目を見開き少し嗤ったあと一言
この小説の“裏”ルートを知っているだろうか?
限定読み切り作品の【アザミ姫】の中に収録された話で、ヒロインが情報屋で情報をもらおうとする時に“とある事”を云うことで、ニコライ・ゴーゴリのルート分岐に入るのだ
これを読んだ時の衝動はえげつなかった
今までヒロインに怒りを募らせていた私が初めて、作者の意図を知り、震撼した話だった
これは余談には成るが、アザミの花言葉は「独立」「報復」「厳格」「触れないで」「気品」「高貴」の意味が有る
ゴーゴリの家系は気品高く高貴な家柄でも有ることから、関連していることは明確だろう
そして、ニコライとフョードルは親友関係と云っていたが、其れもお門違いだ
勝手に、ニコライがそう思っているだけであり、当の本人、フョードルはニコライのことなど毛ほども気にしてはいないのだ
ニコライの目的は、フョードル・ドストエフスキーを殺すことで、“真の自由”を得ることだが、自身で殺すことは“本当の自由意志の証明”には成らないと、そういうことから暗殺、フョードルの立場を崩壊させ、法の下の元で殺すことがニコライの自由意志の証明に成るというものらしい
私は、ニコライとは“親友”でも、“友達”でも無い、殺されるのは御免こうむるからね
私と、ニコライは“同胞”だから__
私も自由が欲しい、ニコライも自由が欲しい、目的は一致しているのだ
この日は何故か、思うように作業が捗らなかった
今迄こんなことは無かったのに……可笑しいことですね
アイリスが婚約者になっても、僕は執務をさせたことは有りませんでした
なのに、何故か、彼女が居なくなり、アメリアが来た途端に何故か思うように行かなくなりました、
下の者達の無能さにはあきれ果てる始末__
何故、こんなにも“アイリス”のことを考えてしまうのでしょうか
僕は彼女のことを好きでは無いのに、アメリアのことだけを想って居るのに
暫くして、アイリスを“暗殺”する手筈を整えましょう、それ迄は彼女を“自由の檻”から手放すのも一つの手でしょう
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!