第9話

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2023/04/29 01:27




__ニコライ、フョードルのこと殺すんでしょ?__


そう問うと、彼は目を見開き少し嗤ったあと一言
ニコライ・G
何故バレた?
あなた
……
この小説の“裏”ルートを知っているだろうか?
限定読み切り作品の【アザミ姫】の中に収録された話で、ヒロインが情報屋で情報をもらおうとする時に“とある事”を云うことで、ニコライ・ゴーゴリのルート分岐に入るのだ

これを読んだ時の衝動はえげつなかった
今までヒロインに怒りを募らせていた私が初めて、作者の意図を知り、震撼した話だった


これは余談には成るが、アザミの花言葉は「独立」「報復」「厳格」「触れないで」「気品」「高貴」の意味が有る

ゴーゴリの家系は気品高く高貴な家柄でも有ることから、関連していることは明確だろう
そして、ニコライとフョードルは親友関係と云っていたが、其れもお門違いだ


勝手に、ニコライがそう思っているだけであり、当の本人、フョードルはニコライのことなど毛ほども気にしてはいないのだ


ニコライの目的は、フョードル・ドストエフスキーを殺すことで、“真の自由”を得ることだが、自身で殺すことは“本当の自由意志の証明”には成らないと、そういうことから暗殺、フョードルの立場を崩壊させ、法の下の元で殺すことがニコライの自由意志の証明に成るというものらしい

私は、ニコライとは“親友”でも、“友達”でも無い、殺されるのは御免こうむるからね

私と、ニコライは“同胞”だから__

私も自由が欲しい、ニコライも自由が欲しい、目的は一致しているのだ



ニコライ・G
ま、“同胞”の君にバレても然程どうにかなる訳でもないし、良いけどさ
ニコライ・G
君はドス君の支配下から逃れた……詰まり“自由”を手に入れた。私よりも一足先に
あなた
……フョードルを殺したいなら、戦争でも何でも彼の立場を危うくすることをすればいい。私は、“彼と婚約破棄をすること”で自由を取り戻した
あなた
どれだけの人に何を云われてでも、“自由”が欲しかった
あなた
自由を求めるのはお互い様でしょう……同胞なら、ニコライ……貴方の手伝い位やってあげてもいい
あなた
まあ、自身の計画でやりたいのなら私は手を出さないけれど
ニコライ・G
嗚呼、君は正に私が求めていた“人物小鳥”だ!!
ニコライ・G
自由を求め、其処に全てを懸ける
ニコライ・G
……僕の計画聞いてくれるかな?
あなた
……まあ、良いけれど。夕方迄には終わらせてくれるかしら、メイドへの土産が買えなくなる
ニコライ・G
其れなら大丈夫!!立派な宝石商の店を知っている、彼に手伝って貰えばいい……彼も君の家柄を考えれば頷いて呉れるさ、彼は、“家”を守る為なら何でもするそういう男さ
あなた
……そう、なら長話でも良いけど
ニコライ・G
じゃあ、失礼して、時は幼少期に遡る……
あなた
え、待ってそんなに戻る話なの?これ、嘘
ニコライ・G
当たり前さ!昔を懐かしみ乍聞いておくれよ!
あなた
いやいや、長話にも程度ってものが有るでしょう!?
ニコライ・G
はいはい、落ち着いてよ、クレープなら幾らでも用意するからさ、
あなた
そういうことじゃあねぇよ!!



この日は何故か、思うように作業が捗らなかった
今迄こんなことは無かったのに……可笑しいことですね

アイリスが婚約者になっても、僕は執務をさせたことは有りませんでした

なのに、何故か、彼女が居なくなり、アメリアが来た途端に何故か思うように行かなくなりました、

下の者達の無能さにはあきれ果てる始末__


何故、こんなにも“アイリス”のことを考えてしまうのでしょうか
僕は彼女のことを好きでは無いのに、アメリアのことだけを想って居るのに



フョードル・D
邪魔な奴は……消し去るのがこの世の常でしょうね


暫くして、アイリスを“暗殺”する手筈を整えましょう、それ迄は彼女を“自由の檻”から手放すのも一つの手でしょう

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