第7話

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2023/04/11 14:08


遂に…遂に来てしまった…!!
国を上げてのパーティーが…

あなた
あー、行きたくない…行きたくないよぉ…
メイド
何を仰ってるんですか!?私たちがこの日の為にどれだけワクワクしてたか!!
あなた
其処は、どれだけ準備してたと思うんですか?じゃなくて?ワクワクしてんの??嘘でしょ。
メイド
今日は、飛びっきり可愛く致します!お嬢様!
あなた
…うん。ありがとう。

嗚呼、どれだけ彼女は愛されていたのだろうか。
たった一人の男の心を掴み取るためだけに、どれだけの犠牲を払い、裏切ったか。


でも、もう大丈夫。
私は違う、最悪な結末で終わらせるわけには行かないの。




馬車に乗り、王宮までの道のりを眺める
手元には浮気の証拠が沢山、決して私の事なんて愛してはくれなかったけれど、其れもお終い。

あなた
…大丈夫、私なら。
王宮に着く、他の貴族やご令嬢が沢山いた。
そんな中でも私はとびきり輝いていた。
今日はメイドも一緒に参加してくれたし、他の人達にもお土産を買う約束もしたから。


早めに切り上げて帰りたい。



あなた
…皆さん、ご機嫌。
他の貴族に挨拶をして会話をする。
特に内容もパッとしなかったし、私はこんなことをする為に来たんじゃあない。
あなた
ドストエフスキーを探さなきゃ。あいつが居なければ話にならない。

すると、後ろから少しばかりの歓声が聞こえた。


私は目を疑った、、





其処にはライバルのアメリア・ヤーン・テイラーが居た。


其れも、私が着ようと予約していたドレスを身に纏って。
アメリア・Y・T
ご機嫌、アイリス様
あなた
…ご機嫌、アメリア嬢。

気まずい…散々イジメきたから、でも最近は相手になんてしていないし、大丈夫よね。
だのに、私のドレスを着ようだなんて随分偉くなったと勘違いしてる。
あなた
其のドレス、素敵ですね。
アメリア・Y・T
ふふっ…そうですか?ありがとうございます、アイリス様もとってもお綺麗です。
アメリア・Y・T
でも、不思議ですね、このドレスアイリス様が着る予定でしたが、そのドレス何処から取ってきたのか…
あなた
あら、知った上でそんなことをなさるだなんて、酷いお方…其れにドレスは1級品だとして、貴女はどうかしらね?
アメリア・Y・T
…どう云う意味ですか。
あなた
やあね、着せられてますって自己主張しているように見えて…ドレスは目立つのに顔はパッとされていないから…あら、ごめんなさい…だって事実ですものね。
クスクスと笑いが聞こえる、あら、そんなにドレスの裾を掴んでいたら皺になるわよ。
フョードル・D
どうかなさったのですか?
あなた
…フェージャ。いえ、何も。
フョードル・D
無いわけでは無いでしょう?
あなた
さあ、私はアメリア嬢に貴族の心得というものを享受した待てです。だって、“男爵嬢”ですもの。無知で当然ですわ。
アメリア・Y・T
…フョードル様。大丈夫です。私は。
なぁにが大丈夫だ!婚約者がいるのに名前呼びとか莫迦なんじゃないの!?
あなた
其れより、お話があります。聞いていただけませんか?
フョードル・D
…はい、良いですよ。応接間に行きましょう
あなた
いえ、此処で大丈夫です。
フョードル・D
…恥をかくとしてもですか?
あなた
ええ、覚悟はしておりますし、私は今後一切、“社交界には出席致しませんから”
フョードル・D
…良いですよ。


こいつ、先刻から腹立つな…婚約破棄されることも目に見えてるのか。

…って、なんでアメリアがあんなに酷く顔を真っ青にして怯えているの…?ドストエフスキーと結婚したいんだからいいんじゃないの?
あなた
アイリス・シャーン・ミハイロヴィッチは、フョードル・ドストエフスキー皇太子に婚約破棄を申し込みます。


その一言で会場内が静まり、そのあとざわついた。
あなた
婚約者としての立場に嫌気がさしましたわ。なので婚約破棄させて下さい。そして、そちらにいる、“浮気相手の”アメリア・ヤーン・テイラー男爵令嬢と仲良くしてください。
そうして、メイドに持たせていた封筒から浮気の証拠をばら撒く。
あなた
お幸せに、お二方。
そしてその場を後にしようとしたが、一つ、声が聞こえた。
アメリア・Y・T
善いのですか?…キズモノの公爵令嬢になりますけど。
と嘲嗤うように云ってきたのを私は見逃さなかった。その瞬間、会場内が私の悪口で埋め尽くされる。





苦しい、この場から離れたい、そんな本来のアイリスの心が出る。



でも、大丈夫。
あなた
ふふ、ご忠告ありがとうございます、アメリア嬢。


アメリア貴女の言葉に傷ついても

私は私だから迷うことは無い、

怖いものなんて無い、恐れはしない。

私には、仲良くしてくれるメイドが家族が、執事やたくさんの仲間が居る。

私には守りたいものばかりがある。

心配されなくて結構。

握りこぶしを作り、笑顔で云う。


あなた
私には、家族が、仲間が居ますわ。かけがえのない、私の守りたいもの。其処に皇太子が入ることなんて一切ないですわ。
あなた
キズモノ…?だから何か。私は私、アイリス・シャーン・ミハイロヴィッチなのだから。
あなた
恥ずかしいという感情が湧きませんわ、何故なら私が輝いているから。
アメリア・Y・T
…チッ。
あなた
では、ご機嫌。皆様方。
あなた
あ、ドストエフスキー皇太子様、私たちは婚約破棄をするのでもう二度と、愛称で呼ばないで下さい。良かったですね。嫌いな女の愛称を呼ぶことがなくなって。
フョードル・D
……ええ。


最っ高!!あの二人の苦い顔…面白すぎた!!

もう大丈夫なんだから、辛くてもこれ以上酷いことなど無いし、私はもう足枷が無くなったのだから。
メイド
お嬢様、随分ご機嫌ですね。いい事がありましたか?
あなた
ええ!最っ高よ!
メイド
良かったです!
これでやっと、
次の計画に移ることが出来る。

会場内はざわついたまま、反応は皆様々だった。
が、視線は突き刺さるものであって。
アメリアはガタガタと震えて居る。

何を臆することがあるのか理解できませんが。
フョードル・D
…行きましょう。メアリー。
アメリア・Y・T
は、はい…


ふふ、やってくれましたね。アイリス・シャーン・ミハイロヴィッチ。


僕を裏切ることは即ち“死”を意味します。







フョードル・D
…これからが楽しみですね。

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