遂に…遂に来てしまった…!!
国を上げてのパーティーが…
嗚呼、どれだけ彼女は愛されていたのだろうか。
たった一人の男の心を掴み取るためだけに、どれだけの犠牲を払い、裏切ったか。
でも、もう大丈夫。
私は違う、最悪な結末で終わらせるわけには行かないの。
馬車に乗り、王宮までの道のりを眺める
手元には浮気の証拠が沢山、決して私の事なんて愛してはくれなかったけれど、其れもお終い。
王宮に着く、他の貴族やご令嬢が沢山いた。
そんな中でも私はとびきり輝いていた。
今日はメイドも一緒に参加してくれたし、他の人達にもお土産を買う約束もしたから。
早めに切り上げて帰りたい。
他の貴族に挨拶をして会話をする。
特に内容もパッとしなかったし、私はこんなことをする為に来たんじゃあない。
すると、後ろから少しばかりの歓声が聞こえた。
私は目を疑った、、
其処にはライバルのアメリア・ヤーン・テイラーが居た。
其れも、私が着ようと予約していたドレスを身に纏って。
気まずい…散々イジメきたから、でも最近は相手になんてしていないし、大丈夫よね。
だのに、私のドレスを着ようだなんて随分偉くなったと勘違いしてる。
クスクスと笑いが聞こえる、あら、そんなにドレスの裾を掴んでいたら皺になるわよ。
なぁにが大丈夫だ!婚約者がいるのに名前呼びとか莫迦なんじゃないの!?
こいつ、先刻から腹立つな…婚約破棄されることも目に見えてるのか。
…って、なんでアメリアがあんなに酷く顔を真っ青にして怯えているの…?ドストエフスキーと結婚したいんだからいいんじゃないの?
その一言で会場内が静まり、そのあとざわついた。
そうして、メイドに持たせていた封筒から浮気の証拠をばら撒く。
そしてその場を後にしようとしたが、一つ、声が聞こえた。
と嘲嗤うように云ってきたのを私は見逃さなかった。その瞬間、会場内が私の悪口で埋め尽くされる。
苦しい、この場から離れたい、そんな本来のアイリスの心が出る。
でも、大丈夫。
アメリアの言葉に傷ついても
私は私だから迷うことは無い、
怖いものなんて無い、恐れはしない。
私には、仲良くしてくれるメイドが家族が、執事やたくさんの仲間が居る。
私には守りたいものばかりがある。
心配されなくて結構。
握りこぶしを作り、笑顔で云う。
最っ高!!あの二人の苦い顔…面白すぎた!!
もう大丈夫なんだから、辛くてもこれ以上酷いことなど無いし、私はもう足枷が無くなったのだから。
これでやっと、
次の計画に移ることが出来る。
会場内はざわついたまま、反応は皆様々だった。
が、視線は突き刺さるものであって。
アメリアはガタガタと震えて居る。
何を臆することがあるのか理解できませんが。
ふふ、やってくれましたね。アイリス・シャーン・ミハイロヴィッチ。
僕を裏切ることは即ち“死”を意味します。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。