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第5話

彼。
私
彼が恋をしたら…死ぬ?
その言葉に私は絶句した。
私
今は私のことを好きじゃないから…大丈夫なんだよね。
そんなの、私が諦めないといけない。
両思いになって彼が死ぬなんて…耐えられない。
でも、私が人を好きになったのなんて生まれて初めてなのに。
私は何も出来ずにその場に立ちつくした。


















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春日椰琴
春日椰琴
あ、今日も来てくれたんだ。
ドアを開けるといつも通り椰琴が私に笑いかける。
その笑顔が眩しくて、なんとも言えない気持ちになる。
私
うん…
私
ね…ねえ。
彼はまたいつも通り冷蔵庫からお茶を取り出そうとしている。
春日椰琴
春日椰琴
ん?
私
いつから…椰琴は実験されるようになったの?
私の質問で、椰琴は少し悲しそうな表情になる。
春日椰琴
春日椰琴
生まれた時から、だよ。
私
え?
春日椰琴
春日椰琴
俺の家系は先祖代々古くから周りに正体を隠してきたんだよ。でも、俺の親父の代で、俺たちの仲間内の誰かが密告者だったんだ。そして、親父達は国に捕まり、その時に母さんの腹の中にいた俺は生まれた時からずっと病院で実験されているんだ。
私
密告者…
何も関係のない椰琴まで影響されるなんて…密告者が許せなくなる。
私は関係ないのに。
春日椰琴
春日椰琴
うん。まあ、もういいんだ。この生活は俺の当たり前だから。
そう言って彼は笑う。
無関係の私だけが怒るって言うのはおかしいと思い私も笑った。
でも、やはり嫌だったから黙っていた。
椰琴も黙る。











一気に部屋が静かになった。
















ヴヴーッ
スマホのバイブがなった。



開くと、お母さんからだった。









『華澄へ。
大輝が、熱を出しました。
私が看病していたのですが、店から呼び出しがかかってしまい、仕事に行かなければなりません。華澄が帰ってくるまでは家にいるのではやくかえってきてください。母より。』
大輝は、私の弟だ。
でも、1歳しか離れていないので双子のようなものだ。
私
わっ!大変!弟が熱出しちゃったから、看病しに帰るね!お見舞いの品はここに置いとくから!
私は、気まずかったのもあり急いで病室から出ていこうとする。
その時、椰琴がぼそっと独り言のように呟いた。
春日椰琴
春日椰琴
へぇ…弟。
鋭い視線を感じた気がしたが、気付かないふりをして出ていく。











ドアを閉める時に一瞬見えた椰琴の顔は、こちらを睨んでいるように見えて恐ろしかった。







駆け足で廊下に出ていくとゴホゴホと苦しそうな咳が椰琴の部屋から聞こえた。
私
(まさか…病状が悪くなってる…?
その原因って…)
考えたくなかった。