頭が痛い…
うっすらと目を開ける。
いつもの部屋だと思って寝返りをすると、手がもじゃもじゃするものにぶつかった。
意識がだんだんとはっきりしてくる。
あれ…
私って自殺しようとしてたんじゃ…?
あ!
と、今ままでのことを思い出す。
確か…
落ちる直前に誰かが私を包み込んでくれた
気がする…
なんと、私が触っていたものは男の子の頭だったのだ!
その男の子はベッドに頭をうずめるようにして私の顔を見ている。
にこやかに彼は私のベッドに腰掛けて話し出した。
男子を呼び捨てで呼ぶなんて久しぶりすぎて戸惑ったが、彼は慣れているらしい。
戸惑っていたのでよく見えなかったが、彼の顔は色白で美少年と呼ばれるべき顔をしている。
彼がいきなり真剣な顔になって私を見る。
そういえば、私はかなりの高さから落ちたのに頭が少し痛いだけだ。
私を守ってくれた人は軽い怪我どころじやなかったんじゃないだろうか。
途端に不安になってきた。
とたんに椰琴の顔が曇る。
唖然とした。
だって、彼には傷一つ着いていない。
彼は深く息を吐き、私を見つめた。
とても嘘を着いている顔には見えない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。