文化祭2日目 。
いつもより早起きした 。
いつもはポニーテールにしている髪を 、
今日は初めて下ろす 。
あ 、嘘昨日の朝は下ろしてたけど …
でもあれはストレートだったじゃん ?(知らんて
今日はクルクルに巻くの!!!
ちゃんと固めて落ちないように 。
そして家を出る 。
佐野「 あなたちゃん!!おはよ〜! 」
『 佐野くんおはよ〜! 』
佐野「 今日髪下ろしてんのめっちゃ可愛いで! 」
『 え 、嬉しいありがとう!! あ!そうだ佐野くん! 』
佐野「 ん?なに? 」
『 今日の午前中暇? 』
佐野「 午前?あ〜ごめん … 今日俺午前中は当番なんだよね … 」
『 当番 … !! …… そうなんだ … 』
佐野「 一緒に周りたかったなぁ … 」
『 来年は回ろうね! 』
佐野「 約束はや!笑 」
『 みんなおはよ〜 』
会長「 あなたにしては来るの早いじゃん笑 」
『 何その言い方〜 、いつも5分前には来てます〜 !! 』
会長「 怒んなって笑 」
「 あなたちゃん髪の毛下ろしたの〜!?かわいい! 」
『 ありがとう〜!茉心ちゃんのハーフアップもめっちゃ可愛いよ! 』
「 あなたちゃんに言われるとマジで皮肉だけどありがと笑 」
SHRが終わって 、
文化祭2日目が始まる 。
『 … 結局1人だし 、、、、 』
一人で回る文化祭って絶対つまんないじゃん!!
「 … すみません 、この学校の人ですか? 」
『 …… 私ですか? 』
「 そうです 。急にすみません …… 」
『 いやいや大丈夫ですよ〜〜!この学校の生徒ですけど … どうかしましたか? 』
「 俺同中のやつがこの学校に通ってるんですけど 、A棟の4階化学室に来てって言われたんですけど … そもそもここが何棟かもわかんないっす!もし良ければ案内してくれませんか! 」
『 …… あぁ !! なるほど !! 全然大丈夫ですよ〜私も今一人で暇だったので気にしないでください! 』
キャップを深く被ってる所以外怪しいところはないし 、
そもそも疑ってもなかった 。
ただ 、どこかで聞いたことある声だな …
そう思ったけど思い出せなかったから気のせいだろう
『 ここの一番奥が … 化学室です! 』
「 ……… 」
『 …… ??大丈夫ですか … ?着きましたよ … ? 』
「 …… っ 」
『 きゃっ!!!!! 』
油断していたら 、腕を引っ張られて空き室に連れ込まれた
『 何するんですかっ 、! ……… って君! 』
「 昨日お前に告白した俺だよ 。名前は橘晴輝な 」
『 橘さん … 何するんですか 、! 』
逃げられないようにしているのか 、
顔の横で左右の手を壁に固定させられている 。
これじゃ抵抗出来ない 。
橘「 俺昨日めっちゃ恥かいたんだけど … 人生で初めて振られたよ 。 」
『 … 人生で初めて って 、昨日初めて告白するって言ってませんでした? 』
橘「 お前マジで信じてんのかよ笑 。なんなら二週間前にも告白したわ 。 」
『 なんですかそれ … 最低 』
橘「 でも本気で好きになったって言うのはマジだから 。一目見て惚れたの 。昨日はよく分かんない奴が遮ったせいでちゃんと返事聞けなかったけど 、俺と付き合ってください 。 」
『 ……… ごめんなさい 、好きな人も気になっている人も居ないんですけど … 中途半端に付き合うのは嫌なんです 。昨日の話聞いてる限り素敵な方なんだなとは思います 。でもまだ橘さんのこと知りません 。なのでごめんなさい 』
橘「 … オッケーするまで帰さねぇから 」
そのセリフ結構前に聞いたことある …
カイキ先輩だったっけ …
あの日は威尊くんが助けてくれたけど 、
今日は完全に逃げられない 。
A棟4階なんてきっと誰も来ない 。
最悪だ … 匠海の言う通りにすれば良かった 。
『 本当にやめてください … 』
橘「 そんな顔して強請っても無駄だよ? 」
『 本当に嫌です 、離してください 。 』
橘「 離すわけねぇじゃん 。離れたいなら頑張って抵抗してみたら?まぁ無理だけど笑 」
『 … っ … うっ 、 … ん 、… 』
頑張って手を動かそうとしてもビクともしない 。
橘「 意外と力弱いんだね笑 」
『 早く回りたいんですけど … 』
橘「 一人なんでしょ? 」
『 午後から友達来るんです! 』
橘「 じゃあ午後まで一緒にいよう 」
『 本当にやめてください …… 』
橘「 … キスしていい? 」
『 … は ……… 』
急にそう言われてびっくりする 。
『 嫌ですっ 、離してっ 、… !! 』
橘「 …… 」
顔が近づいてくる 。
必死に顔を振ろうとする
でも容赦なく近づいてくる唇は避けられなかった
『 っ … う 、…泣 』
必死に首を振ったおかげで 、
口とは少しズレた頬だったものの 、
興味ない人にキスされるなんて気持ち悪い
そう思うと無情にも涙が出てきた
橘「 … 泣いてる顔唆るわ 。もっとしていい? 」
『 いやっ … !! 誰かっ 、助けて !! 泣 』
橘「 バカっ 、叫ぶなよ 、!! 」
『 離してください !! 』
橘「 … もう一回していい? 」
『 いやっ 、!! 』
今度は私の両手を上にあげ 、
頭の上辺りで橘さんの右手に固定される 。
そして左手で顎クイをされて本格的に動かせなくなる
『 ぅ 、… っ … いやっ … !! やだ … 泣 …… やめてっ 、!! 』
『 っ … え 、? …… 泣 』
キスが怖くて目を瞑ってたら 、
ガタン!!と大きな音が近づいて手の拘束が解かれた
反射的に目を開けると …
『 っ … え 、 …… 』
藤牧「 大丈夫 、!!? 」
『 藤牧先輩 …… 、? 』
ドアのところで膝に手を付いて息を切らしている藤牧先輩と 、
教室の奥で橘さんの胸ぐらを掴んでいる ……
『 柾哉先輩 、…… 』
木村「 お前しつこいんだけど 」
橘「 ちっ 、なんで今来るんだよ 。しかもお前昨日の奴じゃん 」
木村「 今何してたんだよ 」
橘「 お前この子のこと好きなの?なんなの? 」
木村「 質問に答えろ!何してたんだって聞いてんだよ! 」
初めて見る怒っている柾哉先輩の顔に私までビクビクする
橘「 … ただ昨日告白できなくてムカついたから … 悪い女にはお仕置してやんねーといけねぇから 。キスしようとしただけだし 」
木村「 しようとした?してないの?しただろ? 」
橘「 … してねぇよ!!一回目は頬に当たっただけだし2回目は … っあ 」
木村「 頬でもしたんだろ? 」
橘「 … それは 」
木村「 見ろよ 、泣いてんじゃん 。こんなに怖い思いさせてんのに反省しねぇの? 」
橘「 …… 別良くね?こいつまぁまぁ可愛いしキスの一回や二回気にしないだろ 」
藤牧「 この人彼氏出来たことないし恋したことすらないんだよ 。だからきっとファーストキスもまだだと思う 。そんな人に無理矢理キスするって最低だよね 。 」
『 …… 』
橘「 …… 」
木村「 とりあえず謝れよ 」
橘「 …… ごめん 、なさい 」
『 え … いや 、………… もう大丈夫ですよ 、 』
橘「 …… すみませんでした 」
藤牧先輩と柾哉先輩が来てくれたおかげで 、
私のファーストキスは無事に守られた 。
『 …… 毎回迷惑かけてすみません 、 』
木村「 …… あなたちゃんなんでアイツに着いて行ったの? 」
『 ……… 道を聞かれたんです 。キャップ被ってて顔見えなかったので昨日の人って知らなくて … 』
木村「 俺らが来なかったらどこまでいってたか分からなかったんだよ? 」
藤牧「 … 柾哉もういいじゃん 、そんな怒んなくてもあなたちゃんだってきっと分かってるよ 」
木村「 絶対分かってないでしょ 、何回同じこと繰り返せば気が済むの? 」
『 ……… 』
木村「 なんでそんなに知らない人にホイホイ着いていくの?なんで危ないって分からないの? 」
『 …… ごめんなさい 』
木村「 ごめんなさいじゃなくてさ 、心配してんの 。どうする?それで急に襲ってきたりって思わなかった?しかもA棟の4階に他校の人が来るって有り得ないじゃん 、なんで疑わなかったの? 」
『 ……… 』
柾哉先輩から向けられる視線が 、
呆れたような目線で泣きそうになる
藤牧「 … もう終わったことだし 、本人も怖かったと思うしそんなに言う必要はないよ 」
木村「 だっておかしいじゃん!!!誰がどう見ても下心しかない人に着いていく理由がわからないよ!!さすがに次からは本当に知らないからね?俺もう行く 」
藤牧「 ちょっ !! 柾哉 !!! 」
柾哉先輩すっごい怒鳴ってた 。
普段は温厚な先輩なのに …
私のせいで怒らせちゃった 。
後悔と申し訳なさで涙が溢れて止まらなくなる
藤牧「 あなたちゃん …… 泣かないで 、 」
『 ごめんなさい … 本当にごめんなさいっ 、泣 』
藤牧「 柾哉もさ 、怒ってるんじゃなくて本気で心配してるからあんな口調になっちゃっただけで 、柾哉なりにあなたちゃんのことちゃんと考えるしただ怒りたくて怒ってるんじゃないんだよ 。そこだけは分かってあげて? 」
『 … 分かってますっ 、でも柾哉先輩普段滅多に怒らないじゃないですかっ … なのに私が …… 泣 』
藤牧「 あ〜 もう 、それは柾哉のせい 。あいつがあなたちゃんのこと心配しすぎてっていうのもあるし … なんならあの男に嫉妬してイライラして八つ当たりなのかも 」
藤牧先輩の最後の言葉はちょっと理解できなかったけど …
でも本気で心配してくれてるのは分かる 。
『 … 藤牧先輩と柾哉先輩は 、なんで私がここにいるって 、そもそも連れて行かれてるって分かったんですか? 』
藤牧「 … 柾哉が 、あなたちゃんと一緒に色んなクラス回りたいって言ってC組行ったんだけどいなくて 、そしたら …佐野くんだっけ 、確かダンス部の子がさっき知らない人とあっちの渡り廊下渡ってたんですよね〜って言ってて 、A棟は文化祭で使われてないのに怪しいってなって昨日のこと思い出して 、もしかしたら逆恨みで … つて考えて1階から必死に探してたんだけど 、あなたちゃんの助けて!って声聞いて場所分かった 。 」
『 …… そうなんですね … 。助けてくれてありがとうございます 。 』
藤牧「 俺はただ走ってただけだよ笑 。柾哉なんか全力でドア開けて名前叫んで 、遭難したんか並に探してたからね 」
『 … 柾哉先輩 …… ただの部活の後輩に対してでもこんなに優しいって …… 何だか申し訳なく思ってきます 。 』
藤牧「 柾哉からしたらただの部活の後輩ではないと思うけどね笑 」
『 …… え?笑 』
藤牧「 まぁいいや 。柾哉多分屋上にいると思う 。 」
『 屋上 ………… 着いてきてください 。 』
藤牧「 えぇ 、なんでやだぁ笑 」
『 一人じゃ寂しいです 』
藤牧「 …… お化け屋敷入ってくれる? 」
『 バンバン入りますから! 』
藤牧「 じゃあ行こう! 」
そうして藤牧先輩と一緒に屋上のドアを開けた 。
そこには確かに柾哉先輩の姿があった 。
『 ……… っ 、柾哉先輩 !! 』
木村「 ……… !? … あなたちゃん 、 」
『 … 私 、柾哉先輩がどんなに心配してくれてるのか分からないで … 軽率な行動取っちゃいました 。これからは絶対一人で出歩きません 。 』
目を見て真面目にそう言うと 、
視界が真っ暗に変わった 。
『 … っわ 、! … 柾哉先輩 、!? 』
いきなり抱きつかれた 。
木村「 ごめん … 俺余裕なくてさ 。アイツのせいで果てしなく怖い思いしたあとにまた俺のせいで怖い思いさせた 。本当にごめん 。 」
柾哉先輩が許してくれたことに安心してまた泣く
木村「 … どこにキスされたの? 」
『 っ … うぅ …… 泣 』
嗚咽で返事ができない
藤牧「 さっきからずっと泣きすぎだから笑 」
木村「 さっきから?さっきも泣いてたの?笑 」
藤牧「 柾哉先輩怒らせちゃった〜わーんって泣いてたよめっちゃ 。全然止まらなくて焦ったんだから 。 」
『 それ言わないでくださぁい! 』
木村「 … とりあえず質問に答えて〜 、一回目どこにキスされたの? 」
『 …… この 、辺りです 』
そう言って右頬を指差す 。
木村「 … ごめん 、我慢して 」
『 え ? … ちょっ 、!!!!! 』
何をするのかと思ったら 、
私がキスされた場所
ピンポイントにキスしてきた 。
藤牧「 …… 柾哉やるね 」
『 ちょっ … え …… 今の … っ !! 』
木村「 … 上書き 。嫌だった? 」
『 嫌 … じゃ … ないです 、 』
木村「 なら 、これでさっぱり洗い流せるね笑 」
『 っ …… ///// 』
木村「 照れてんの〜〜?笑 」
藤牧「 顔真っ赤じゃん笑 」
『 …… さっきの人より 、柾哉先輩のキスの方が100倍嬉しかったです 。 』
木村「 やめろ笑 」
藤牧「 … ははは笑 」
泣いた2分後には笑顔になれてるんだから 、
このふたりは最強なのかもしれない 。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。