藤牧「 …… 収まった? 」
藤牧先輩が教室に入ってきてから約10分
私の涙はやっと収まり 、
今は隣同士の席に座ってる
藤牧「 …… 辛いことあったの? 」
『 …… 自分が 、唯一好きかもって思った人を振ってしまったんです 。 』
藤牧「 … え …… ? 」
『 なんで私が泣くんだって話かもしれませんけど …… 私はオッケーするつもりでいたんです 。でも 、直前になって急に脳からダメ信号送られてきて 、直感で断りました 。 』
藤牧「 … 後悔してるの? 」
『 …… わからないです 。 』
藤牧「 そっかぁ 。まだ恋愛初心者だもんね 。 」
私の目を見ながら藤牧先輩は真剣に話す
藤牧「 相手の子はなんて言ってたの? 」
『 … 私が 、良い友達でいたいって言ったんです 。そしたら " 先輩と後輩の関係でこれからもよろしくな " って言ってくれたんです 。 』
藤牧「 … なら 、いいんじゃない?告白って振られる方よりも振る方の方が辛いって言うじゃん 。だから明日からその人には笑顔で接してあげるのが一番いい対応の仕方だと思う 。 」
『 …… そう 、ですよねっ 泣 』
藤牧「 …… いつも告白断るごとにそんなに泣いてるの? 」
『 ……… バカにしてるんですか?そんなわけないじゃないですか!笑 』
藤牧「 あなたちゃん心優しいからやりかねないなぁって笑 」
『 褒めてるのか貶してるのか分からない言葉言うのやめてください笑 』
藤牧「 ごめんごめん笑 」
『 … ところでなんで藤牧先輩はここに来たんですか? 』
藤牧「 ………… 」
今まで笑っていた藤牧先輩の顔が強ばる
藤牧「 … 色々あって 、遅くまで学校残ってたんだけど 、このクラスだけ電気付いてるのが俺らの棟から見えたから気になって来たの 。そしたらあなたちゃんがいて … って感じ 。 」
『 そうだったんですね …… 』
この時の私は 、
まだ藤牧先輩の 、
" 色々とあって "
の意味を深く考えていなかった 。
まさかこの出来事が
後に私をあんなに苦しめることになるなんて 。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!