今僕たちは、支援学校にある花壇に来ている
そこには色とりどりの花が咲いている
もし僕が普通だったら
桜子ちゃんと笑ってたりお話したりしてたのかな
そう考えると胸が苦しくなってきた
普通が良かった
普通にみんなの声を聞きたかった
はあっ、はぁっ……
んっ、、あれなんで、いきがすえっ、、
なんて言ってるのか分からないけど
息が上手く吸えない
あれどうやって呼吸ってするんだっけ
このまま吸えなくて亡くなって
生まれ変わったら耳が聞こえるようになるのかな。
じゃあいっそうそのままでも……
(先生)大丈夫だよ。吸ってみよ、せーのっ、
すーっ、はぁーっ、すーっ
すーっ、はぁーっ
ダメだこんなので死ねない……生きなきゃ
(先生)大丈夫?怖かったでしょ 手話
(先生)今日は早退しよっか
すると僕の頭を撫でてから親に電話をして迎えに来てもらった
昼間の自分の部屋は少しだけ涼しい
帰って親に少し寝てくるねと言って
自分の部屋にこもった
あれは一体なんだったんだろう
ネットで調べてみよう
過呼吸……
ってなに?
まぁとにかくそんなのになったのかな
桜子ちゃんと花を見てただけなのにな
僕のからだっておかしいの?
何がいけない?
もう嫌だ
そのまま僕は寝てしまって
現在の時刻は
5時半
しかも朝の
どんだけ寝てたんだよって話だよね。
(先生)おはよう、大丈夫? 手話
何も変わってなかった
その後に
今日は僕のことをいじめてた子がいる中学校に行く
先生達はいじめられていたことを知らない
だから僕も行くことになっている
でもきっと
そいつらはいる
怖い…怖い怖い怖い…
また何かされたらどうしよう
何も言い返せない
怖い、、
(先生)桜子ちゃん、連れてきたよ 手話
彼女も一緒に中学校に行く
こんな喋り方じゃだめなんだ
ちゃんと喋らないと
またいじめられる
もうあの思いはしたくないんだ
不公平だよ
なんで、どうして僕だけ
笑ってる彼女を校長先生がまいている水で
綺麗に眩しく見えた
その言葉は聞こえて
桜子ちゃんが
笑って僕を見つめている
僕の様子がおかしかったのか
桜子ちゃんはみんなが居ないところに連れて行ってくれて
一生懸命文字にしてくれた
私もいじめられてた
だから
その思い
知ってる
そう書かれた紙を受け取った僕は
どんな表情をしていたんだろう
崩れ落ちたのだけは覚えている
いじめも僕とは桁違いだ
ものを全部ぐちゃぐちゃにされ
白杖を取られそれに足を引っ掛けられて
大怪我をしたり
見えないんだからと言われ部屋に閉じ込められたり
でもそんな彼女は今は笑っている
辛い顔なんてしないから
だから
こう聞いてしまった
あー僕って弱い人間なんだ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!