第2話

流星群が降る丘
66
2021/09/09 12:38


『今日は流星群が降るらしい』





どこからか、そんな明るい声が聞こえた



そういえばここは路地裏だっけ


何日物を食べていないか、
何日寝ていないか

そもそも家などないのだが
夜宵
夜宵
流星群、か



流星群なんて、大嫌い

それでも、流星群が降る度に
よく見える場所へと足を動かしてしまう


長い事座っていた地面から
体を起こし、立ち上がる


どこの学校の物かも分からないセーラー服を
身に纏った少女が平日の昼間に
路地裏にいるのは、実に不思議な光景だろう



軽く裳裾スカートに付いた砂を払い、
小高い丘に歩き出した






寝ず食わずでも動くこの身体が
途方もなく怨めしい


それでも久々に動かした足は


関節が少し痛んだ




あぁ、私まだ生きてるんだ





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不老不死だった


死ねなかった


大切な人の死を見送って尚
情けなく生き続けるこの息の根を、

止められるなら今すぐ止めてやりたい




そんな事が可能なら疾っくにやっているけど


何十、何百と生きる私は、

当然人から忌み嫌われる


そうすると、いつの間にか人と関わることを辞めた


どうせ、何奴も此奴も同じでしょ?
知らないから怖いんだ



私はただ、普通に逝きたかった



普通に生きて
普通に歳を重ねて
普通に終わりたかった




ただ、普通に────────

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