数は少なかったけど
一瞬で消える流れ星の存在感は変わらなかった
何度も目の前に映し出される
大嫌いな景色も、忘れられないまま
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翡翠は、親も友達も居ない私の
唯一の親友だった
誰にでも分け隔てなく優しくて、
村中の憧れの存在だった
何で、気づかなかったんだろう
どうして、忘れてたんだろう
自問自答したって、翡翠は
もう帰ってこないのに
翡翠は、巫女だった
行事では必ず舞を舞っていたし、
神聖な存在として祀られる立場だった
でも
流星群が降った夜
翡翠は断頭台に登った
その瞬間、目の前が真っ暗になった
気がついたら、村は紅く滅びていた
あぁ、私が皆殺したんだ
あれ、翡翠は?
──────────────あれは、翡翠?
翡翠は、自らの命を絶った
わたしが、みんなころしたんだ
わたしのせいで、ひすいはいなくなった
わたしが、わたしが
皆を殺してしまった罪だろうか
そこから、その日から、その夜から
私の時間は止まった
あの、流星群が降った夜から
何で私も一緒に死ななかったんだろう
何で、自分が悪いのに
死ねないんだろう
歳を取れないんだろう
死んで、償いたいのに
罪滅ぼしなんて、出来やしないのに
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!