第10話

流星群が降る丘
51
2021/10/22 13:00
夜宵
夜宵
今日は、流れ星が降ったよ






数は少なかったけど






一瞬で消える流れ星の存在感は変わらなかった








何度も目の前に映し出される





大嫌いな景色も、忘れられないまま




夜宵
夜宵
私は、何時になったら死ねると思う?
夜宵
夜宵
ねぇ、翡翠……








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新羅  翡翠
新羅 翡翠
夜宵、久しぶりですね!






翡翠は、親も友達も居ない私の




唯一の親友だった









誰にでも分け隔てなく優しくて、



村中の憧れの存在だった
夜宵
夜宵
ねぇ、翡翠、知ってる?
夜宵
夜宵
後ちょっと、一月後くらいに
星が降るんだって!!
新羅  翡翠
新羅 翡翠
一月後、ですか?
夜宵
夜宵
うん!一緒に見に行こうよ!
新羅  翡翠
新羅 翡翠
…………はい。楽しみにしてますね!






何で、気づかなかったんだろう






どうして、忘れてたんだろう






自問自答したって、翡翠は







もう帰ってこないのに
新羅  翡翠
新羅 翡翠
……ごめんね、夜宵
夜宵
夜宵
ねぇ!!待って翡翠!!!何で……?!
新羅  翡翠
新羅 翡翠
私は、生まれた時から
新羅  翡翠
新羅 翡翠
今日殺されることは決まってたからニコッ
夜宵
夜宵
?!聞いて、ないよ……っ?!





翡翠は、巫女だった






行事では必ず舞を舞っていたし、
神聖な存在として祀られる立場だった





でも
夜宵
夜宵
なんで、?!生贄なんて、おかしい!!
新羅  翡翠
新羅 翡翠
……この村が、安全に続くように
夜宵
夜宵
…………っ!!翡翠っ、!やだ、!!
新羅  翡翠
新羅 翡翠
 ……またね、夜宵




流星群が降った夜









翡翠は断頭台に登った







その瞬間、目の前が真っ暗になった













夜宵
夜宵
…………っ、……






気がついたら、村は紅く滅びていた






あぁ、私が皆殺したんだ








あれ、翡翠は?














──────────────あれは、翡翠?










翡翠は、自らの命を絶った









わたしが、みんなころしたんだ





わたしのせいで、ひすいはいなくなった








わたしが、わたしが
夜宵
夜宵
っああぁぁぁぁぁぁあああ!!!!








皆を殺してしまった罪だろうか






そこから、その日から、その夜から






私の時間は止まった






あの、流星群が降った夜から







何で私も一緒に死ななかったんだろう





何で、自分が悪いのに





死ねないんだろう




歳を取れないんだろう




死んで、償いたいのに






罪滅ぼしなんて、出来やしないのに




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