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第1話

流星群が降る丘
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2021/09/06 15:00




『今日は流星群が降るらしい』
















カーテンから薄い光が部屋に指す


その光はフローリングに反射して
部屋中にぼんやり分散する



平日の昼間


目に入る光は、心做しか
自分を責めているような気がした
深月 星夜
深月 星夜
……


何となく付けてみたテレビから、
明るい声が聞こえた


『今夜の流星群は、実に80年ぶりで……』
深月 星夜
深月 星夜
流星群、ねぇ……


いつもなら気にも止めない



はず、だったのだが



少し興味を唆られた

気まぐれ程度に、今晩近くの丘に
行ってみようと思う



長いこと座り込んでいた部屋のフローリングから
足を引きはがし立ち上がる


久しぶりに開けたクローゼットは埃の匂いがした



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まだ、今日を終わらせたくなかった


毎日毎日、何も出来なかった時間だけが
体に染み込んで動けなくなった


周りが全部、敵に見えて
皆、自分の悪口を言っているように思えて



この、痛みが
この、闇が


過去も明日も全部全部
呑み込んで行ってくれる


……そんな、気がして




つまらない、時間



ただ、普通になりたかった



普通に笑って
普通に学校に行って
普通に友達が出来る



ただ、普通に─────────

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