担当を持つ前にこんなことを大先生に言われた「生きると思うな」
なんて酷い!
と思ったが、大先生の話を聞くと知らしめられる気持ちだった
10年以上小児病棟にいるが
退院出来る子はそういない
退院させてやろう とするんじゃない
お前なりのことをしてやれ
そう教えられた
どやどやしているこの病室
3人の笑顔が僕のエネルギーになる
だからこの3人を救いたい
救えるかはわからなくても
苦しみは取り除きたい……
バタバタと病室に向かうと
3人は準備万端で待っていた
あっ、流星が 神ちゃん って言った
ちょっとだけ距離が縮まったかな ?なんてちょっと嬉しくなった
研修医は検査員は出来ない
だから検査室の前で子供たちを待つだけ
1時間半後 3人が出てきた
さっきの明るさは消え
迫り来る検査結果で静まり返った病室
俺やって、3人の検査結果をどう受け止めればいいのかわからん
個人の手に渡る1時間前にチェックしに行かなければならないのだ
ついに、僕が検査結果を見に行く時間がやってきた
封筒をそっと開ける
1枚目は望くんだった
血圧 ☞ やや高め
心臓 ☞ 異常なし
腎臓 ☞ 異常なし
膵臓 ☞ 異常なし
肝臓 ☞ やや炎症気味
肺 ☞ 人工呼吸器推奨
補足 ☞ なし
てれてれし、2枚目を見る
大毅くんだ
血圧 ☞ やや高め
心臓 ☞ 異常なし
腎臓 ☞ やや機能停止
膵臓 ☞ 異常なし
肝臓 ☞ 異常なし
肺 ☞ 異常なし
補足 ☞ なし
最後は流星
血圧 ☞ 低い
心臓 ☞ 動悸あり
腎臓 ☞ 異常なし
膵臓 ☞ 異常なし
肝臓 ☞ 腫瘍あり(悪性)
肺 ☞ 腫瘍転移の可能性あり
補足 ☞ 余命半年
この検査結果を患者に見せるは義務ではない
病室へ向かう
そんななか、流星は何かを感じ取っていたようだった
流星の車椅子を押し、屋上庭園へと向かう
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。