祐也は私の手をそっと握った。
私はドキドキしながら見つめ返した。
祐也は、困ったように顔を傾けた。
私は思わず笑った。
なんか意外。祐也は何でもできる完璧な人だけど、やっぱり抜けてるところはあったんだ。
美弥くんは、私達のやり取りをじーっと見ていた。
私は、うんと頷いた。
しばらくの沈黙。
美弥くんが、叫んだ。
私は慌てて止めた。
……あれ?そんなに驚くかなぁ。
私に彼氏がいようが、どうでも良くないか??
美弥くんは、なんか思いを振り切ったようにして、にっこり笑って顔をあげた。
美弥くんは、優しい笑みを浮かべ、帰っていった。
……祐也にとっては、おぞましい冷気を放った怖い笑顔だったらしいが。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。