私がリビングの扉を開けると、兄にぃは大きなソファに座ってスマホを見ていた。
私は兄にぃの隣にくっついて座る。
昔からこうしてたけど、
そろそろやめないといけないのかなーと思いながらも、まだくっついている。
だって好きだもん。
ちょっとでも近くにいたい。
そっけない返事。
スマホ見てばっか。
かまってくれない。
そう言ってスマホの画面を覗き込む。
もー、まだー⁈
龍友くん早く終わらせてよ!!
もーいーや、イジワルしちゃお。
昔、まだ小さい時、兄にぃとよくやってた。
でも、反応がない。
昔はくねくねしてたのに。
くそっ。
兄にぃがかまってくれたのは嬉しいけど、
まさかこの攻撃がきかないとは。
すると、
兄にぃがイジワルな笑みを浮かべる。
私は兄にぃからちょっと離れた。
しかし、
私は昔と変わらず弱い。
くすぐったすぎて笑いが止まらない。
すると、バランスを崩して、座っていた私は
横に倒れてしまった。
そして、兄にぃも、私を助けようとして、私の頭の横に手が来た。
つまり、よくある床ドン的な体勢になった。
ま、ソファの上だけど。
やばい、近い。
やばいぃ、ちかぁーい。
ドキドキしちゃってる。
そう言ってどいてくれるのかと思った。
でも、兄にぃが動かない。
兄にぃはしばらくして、起き上がった。
そして、私が立とうとすると、私の手を捕まえた。
そして、兄にぃは不自然な間をあけて口を開いた。
どーした、兄にぃ。
さっきからおかしい。
だけど、離してくれない。
そして、
と言った。
え?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!