第96話

岩田剛典❤︎
3,443
2019/09/28 06:34





夜の街。





大学に入学するときに上京して、

東京で就職もして、

それなりに働いてお金稼いで、

恋愛とか身体だけの関係とか、

人並み以上には経験して。











私は自分の容姿に自信がある。

歩いていれば、誰かが声をかけてくれる。

いい男だったら、ついて行って、

そうじゃないなら、突き放す。








そんな自分を、かっこよく思うわけでもないが、

なぜか満足してる。












自分自身は別に好きではない。

ただ、いい男を連れてる自分が好きなんだ。







今日はこのBARで、誰でもない誰かを待つ。









.
こんばんは
.
一緒に飲んでもいいですか?





今まででいちばんのあたりかも。







身長はそこまで高くないけど、すらっとしていて、

顔はあまり見えないけど、

姿が美しい。









彼を知りたい。




不意にそう思った。










あなた

はい、是非

.
どーも






彼が座るとき、眼鏡の向こうに美しい瞳が見えた。











私は分かってしまった。



















[ 岩田剛典 ]だってことを。














岩田剛典
新しいの、飲みますか?
あなた

ああ、ええ…

岩田剛典
何にします?






驚いてちょっと焦ってる。





いや、かなり。









いい男は狙ってたけど、スターを狙ってたわけじゃない…









芸能人と関わるのは危険だからいや。







だからこの “ 岩ちゃん ” はナシね。






でもお酒だけなら。










あなた

何にしよう…

岩田剛典
どんなのがいいんですか?
あなた

うーん、

あなた

結構強めなのかな

岩田剛典
スクリュードライバーとかは?
岩田剛典
オレンジ系の
あなた

あ、じゃあそれで

岩田剛典
えっ、




なに自分で薦めといて驚いてるの…




岩田剛典
飲まない方がいいですよ
岩田剛典
結構強いんで
あなた

そーなの?

あなた

そんなにきついのかな?…

岩田剛典
飲みたいなら飲んでみたら?
あなた

じゃあ頼んでみる



私はそのカクテルを頼んだ。











岩田剛典
潰れても知りませんよ?
岩田剛典
まあ、僕にとっては好都合だけど。







そう言って彼は少しニヤリと笑った。












流れる前髪

細い眼鏡

美しい輪郭










なんでこんなにも、美しいのだろう。









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