*あなた*
それから壱馬さんが眠ってる間に、ゼリーとかを買いに行った。
帰ってきたら、まだ寝ていたから、
お粥でも作ろうかと。
料理経験ゼロ。
むしろマイナスって言えるほどできない私が、
壱馬さんという方に作ってもいいのだろうか。
まあ、やるだけ、とりあえずやってみるか。
無駄なチャレンジ精神が湧いてしまい、
キッチン用品を使わせてもらう勇気もでてしまい、
デンジャラスクッキング。
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*壱馬*
目がさめると、キッチンから水の音が聞こえてきたから部屋を出た。
するとそこには、
白いシャツに
暗めの色のチェックのスカートの制服姿のままの
あなたちゃんがいた。
やばい、なんか急に元気出してしまった。
うわ、こんなんめっちゃ久しぶり。
前に付き合ってた子は、
正直冷たい子か、
面倒な子しかいなかったから、
この安心して休める環境。
すごく嬉しい。
おれが視線をお粥からあなたちゃんに移して
そう言うと、
あなたちゃんは顔を赤らめた。
おれが焦ってそう言ったら、
するとあなたちゃんは突然、
え?
あなたちゃんは俺の脳内が整理しきれないうちに家から出て行った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!