*昂秀*
次の日の朝。
目がさめると、昨日は隣で寝ついたはずのあなたの姿がなかった。
彼女は出て行こうとしたのだろう。
即座にあなたの姿を見て、全てを理解した。
キッチンに置きっぱにしていたコンビ二の袋に
何日か前に買ったパンとペットボトルを入れていた。
俺はとりあえずあなたをリビングまで連れ戻した。
あなたは俺とは反対側を向いて座った。
その言葉が、結構俺の胸に刺さった。
でも、すぐに言葉が浮かんできた。
そう言ってあなたの肩を引っ張った。
俺の大好きなあなたの目には、涙が浮かんでいた。
あなたはこっちを向いてくれない。
.
.
なんて言えばいんだろ…
いろいろ出てきてまとまんない。
でも、これだけははっきり言いたい。
ああ、今ぜったい顔赤いだろうな。
パニックで変なことを考えていたら、
急にあなたに勢いよく抱きしめられた。
俺はしばらく固まって、何にも言えなかった。
でも、なんとか正気を取り戻し、
俺の一番好きな人の顔を覗きながら、
俺の一番の願いを言ってみた。
あなたは頷き、
と言って笑顔を見せてくれた。
これからは、この笑顔を俺が誰よりもたくさんみて、
たくさん作りたい。
はあ、
好きすぎる。
そう思いながら、
俺は恥ずかしさを隠すためと、
とにかくあなたに触れたいというか思いから、
あなたに優しくキスをした。
これからもずっと、
あなたのそばで笑っていられることを願って。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。