第10話

可愛い後輩
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2018/06/11 13:12
「お前、最近よくあの子と居残りしてるよな」

思い出したように対面の人物が言った。

俺はフッと口角を上げ、そいつに答えた。

「あぁ。見てられなかったからな。あいつ、すげぇ良いシュートフォーム持ってたのに自分で壊してたから」

「それだけか?二宮」

「どういう意味ですかキャプテン?」

にやりと笑われたので、にやりと笑い返す。俺の行動に、男バスのキャプテンでありクラスメイトの原田(はらだ)はため息をついた。

「分かって聞いてんだろ」

「まぁな。正直好きかはわかんねぇけど、いじめたくなるんだよなーあいつ」

恋愛的な意味じゃなければ、好きだと思う。一緒に過ごしていて飽きないし、何とも言えない可愛さもある。

そう。あいつは“可愛い後輩”なのだ。

口元を綻ばせて高崎を思い浮かべていると、原田が二度目のため息をついた。

「まぁいいけどよ。もし高崎が誰かに告白されても、お前は文句言えねぇぞ」

「言う気ねぇよ。個人の自由だろ」

「……あっそ」

「なんだよ」

「別に」

原田はそう言って、床に置いていた水筒を持ち上げ、中のお茶を飲んだ。

“何か”あるような空気を感じたが、気のせいだろうか。

尋ねようかと思った時、始業のチャイムに邪魔をされた。

……ま、いいか。大したことじゃないだろ。

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