第16話

気まずい偶然
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2018/06/18 10:48
昼休み、るーちゃんが係の仕事で職員室へ行ったので、私は昼ごはんを買うべく購買へ歩いていた。

一年生は教室が一階にあり、購買も一階なので、みんな割とよく行く。お腹がすいてくる3時間目の前後の休み時間とかにね。

「あ」

ばったり、まさにそんな表現が似合うだろう。

購買前の渡り廊下で、何かを買い終えて帰るところらしい男子生徒と偶然出くわした。

そう……昨日私に告白してくれた男子と。

「……や、やっほ!何か買ったの?」

とっさに話しかけてみるが、失敗した。相手は弁当らしきものと財布を持っているのだ、何かを買ったに決まっている。

頭が良ければ上手い話題を思いついただろうに。もっと勉強しようと思った。

「う、うん、注文してた弁当を取りに……」

「へぇー」

「…………」

「…………」

つ、続かない……。沈黙が苦しい。

たまらず俯くと、頭上から優しい声が降ってきた。

「大丈夫だよ。気にしなくて。正直まだちょっと辛いけど、オレ、友達として高崎さんと仲良くなりたいなとも思ってたから」

気を遣ってくれたんだろうということはすぐ分かった。でも、彼の目を見たら、それが本心でもあるんだということも伝わってきた。

振った側が振られた側に慰められるなんて。なんだか申し訳ないな。

「優しいね。ありがとう」

「っ……うん。そうだ、昨日はテンパってて言うの忘れてたけどオレ、河野。好きに呼んで」

「りょーかい!河野くんって呼びます!」

敬礼のポーズでニッと笑う。河野くんの頬がうっすら赤くなった気がした。

おもむろに河野くんが手を伸ばしてくる。

「高崎さん――」

河野くんの行動を不思議に思いながら伸びてくる手を見つめていたはずが、突然視界が真っ暗になった。

「触るな!!」

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